好きだけど、好きなのに、好きだから
朝練前。

ジャージを返すために、部室前で佐伯君を待った。

別に、皆の前で返しても良かったのだけど……

ちょうど着替えを終えた佐伯君が、一人で部室から出てきた。

「佐伯君おはよう。あの昨日はジャージ……」

「優里亜」

私を呼ぶ誠の声が、私の言葉を遮った。

佐伯君は私の手からジャージをスッと抜き取り、体育館に入っていった。

あっ、お礼言ってないのに……
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