好きだけど、好きなのに、好きだから
部活が終わって、学校を出る。

少し離れた前を歩く誠さんの後ろ姿が見える。

もう少し前に目をやると、校門前で女子が誠さんに手を振っている。

「誠君!」

誠さんはポケットから手を出して、それに手を上げて答えている。

「おぅ、お疲れ」

「一人?」

「おぅ」

「ねぇ、一緒に帰ろ」

その女子は、誠さんの腕を組んだ。

ふーん。

優里亜先輩と付き合ってんじゃねぇのかよ。

二人が、並んで帰っていく。

何だか、モヤモヤとして腑に落ちねぇ。

モヤモヤっていうか、誠さんにイライラしてる。

どうでもいいはずだったのに、なんでこんな気持ちになってんだ……
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