好きだけど、好きなのに、好きだから
他の一年生同士が話をしたり騒がしい中、彼は一人シュートを打っていた。

私は、誠とその様子を眺めている。

「ふっ」

誠が、鼻で笑った。

と思ったら、いきなり佐伯君に向かって歩き出す。

「お前、優里亜の外したシュートダンクしたんだって?」

誠は佐伯君の左肩に手を置き、先輩風を吹かせた。

「……」

誠の手が邪魔だったのか、佐伯君は右手だけでシュートを打った。

そのシュートは、リングに触れることなく綺麗に決まる。
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