好きだけど、好きなのに、好きだから

答え

昼休み、誠が教室に顔を出す。

私と誠は、廊下の端で向かい合う。

「優里亜、俺が悪かった。もう邪魔しねぇから」

「うん」

珍しく、誠は素直に謝ってきた。

「優里亜……佐伯の練習に付き合ってんの、俺らに言わなかったのさぁ」

「うん」

「佐伯のこといいなぁって思ってるからじゃねぇの?」

えっ、誠……

まさか、本当にヤキモチ!

「だから、それは私から話すのは違うと思ったからで……」

「じゃあ、何で佐伯の練習に付き合おうと思ったの?」

「……」

……答えられない。

「優里亜は佐伯に惹かれてる。佐伯も優里亜を……」

「佐伯君は、バスケットにしか興味ないよ」

私と佐伯君は先輩と後輩だ。

それ以上でも以下でもない。

「部活の後の練習だって、真剣で本当に一生懸命なの。だから……」

誠が、心配するようなことはないと言いたかった。
< 76 / 97 >

この作品をシェア

pagetop