好きだけど、好きなのに、好きだから
「バスケにしか興味ねぇってのがさ……」

えっ?

どういうこと?

「優里亜が佐伯のこと好きだって気付いた時、佐伯がバスケにしか興味ねぇってなったら」

誠はいつになく真面目な顔。

「傷付くのは優里亜だ。俺、優里亜が泣くのもう見たくねぇんだ」

「誠……」

その言葉の意味は、私が一番分かっていた。

中学二年の夏、失恋した私は涙が出なくなるまで泣いた。

そんな私を、一番近くで見ていたのが誠だったからだ。

「誠、ありがとう」

誠の手が、私の頬に触れる。

いつもは頬をつねったり、引っ張ったりするくせに……

今日は優しい。

誠が私を見つめている。

「ごめん……なんもねぇ」

誠は、そう言って教室に戻っていった。

私は、誠がヤキモチを妬いちゃったのかと思ったけどどうやら違ったみたいだ。
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