好きだけど、好きなのに、好きだから
部活が終わった。

「優里亜先輩!」

「麻衣ちゃん、お疲れ様。こっちももう終わるから上がっていいよ」

「はい」

上がっていいよと言ったのに、麻衣ちゃんはその場から動かない。

「ん?」

「優里亜先輩、今日は佐伯の練習付き合わないんですか?」

「あぁっ……」

「佐伯、先輩のこと気にしてると思いますよ」

どうやら、健から話を聞いたみたいだ。

「昨日、佐伯君の邪魔しちゃったから……」

「あいつバスケ以外不器用すぎなんで」

「ふふっ」

佐伯君の練習に付き合うようになって、その麻衣ちゃんの言葉が良く分かる。

「後……」

「ん?」

「佐伯、優里亜先輩と誠さんが付き合ってるって思ったみたいで」

「あはは」

「誠さんが他の女子と帰ってるところ見ちゃって、先輩を大事にしてないって思ったみたいなんです」

そうだったんだ。

健が言っていた、それぞれの思うこと。

それぞれの勘違いだったけど、二人とも私のことを考えくれていたと知った。
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