好きだけど、好きなのに、好きだから

ゴールデンウィーク。

バスケ部は、三日間練習試合だ。

相手は高岡工業。

去年の県大会優勝校だ。

九年連続インターハイに出場している。

去年の成績で言えば、高岡工業が一位で藤森北が三位。

俺は、相手がどこであろうと負けたくねぇ。

合同のアップが始まった。

アップが始まってすぐ、俺と優里亜先輩が高岡工業の監督に呼ばれた。

二人で高岡工業の控え室に入る。

「佐伯君、久しぶりだね」

高岡工業の監督が椅子から立ち上がり、ゆっくりとこっちに歩み寄る。

「はい」

俺は、高岡工業からもバスケの誘いを受けていた。

去年の県予選の後すぐに藤森北に入ることを決めた俺は、高岡工業に断りを入れた。

それなのにこの監督は、その後も何度もうちの中学に足を運んできた。
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