八城兄弟は僕(=わたし)を愛でたい!
 ……え?
 怖いならと付け足されたあとに、椿くんがネコを抱き上げた。

「今までルームシェアしてたんだし、なんら問題ないと思うけど」

 椿くんの部屋へ入って、ぎこちない足どりでソファーへ横たわる。

 部屋が一緒のときは、どちらかがソファーで寝て、同じベッドに入ることはなかった。
 いくら男子の姿でも、心は乙女。心臓がもたない。

「碧、今日はこっちで寝よう」

 ベッドの上に枕をふたつ並べて、椿くんが手招きしている。

 そ、それは……わたしの乙女メーターが爆発してしまいます。
 でも、そばにいてくれたら安心できる。

 ふとんの中へそっと入って、縮こまる。怖くないようにと、椿くんが頭をなでてくれた。

 真っ暗になっても、不思議と落ち着く。
 だけど、胸はドキドキしている。緊張するけど、心地いい。

 もぞもぞと、わたしたちの間からネコが顔をのぞかせた。そのうち動かなくなって、スヤスヤと寝息が聞こえてくる。

 いつのまにか、わたしも眠りについていた。
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