八城兄弟は僕(=わたし)を愛でたい!
恋の魔法はキケンがいっぱい!
 昼休みの時間。旧校舎の通路は、わたしたち三人のたまり場となっている。残りの二人は、もちろん安斎さんと矢野さんだ。

 最近は、わたしが相談に乗ってもらうことが多い。今日も、二人に話を聞いてもらうことに。

「実は……」

 ウソカレの任務をした日、遠野さんに三葉碧だと気づかれてしまった。

 そのあと、それとなく穂村さんにさぐりを入れているけど、今のところはバレていない様子だ。

 遠野さんとは、連絡取り合ってるみたいだから、なんとかならないかな。

 とは、地球が落っこちても言えないから、他の相談をしてみる。

「ふむふむ。最近、椿さまがそっけないと」

「うん」

 二人きりで過ごした次の日から、あまり目が合わなくなった。話しかけても、すぐどこかへ行ってしまって、避けられているみたいなの。

 写真の真相も聞きたくても、なかなかできない。
 なにか気にさわることでもしたかなと、けっこう悩んでいるのだ。

「焦がれるほど切なくて、眠れないほど苦しくて。今にも胸が張り裂けそうなのですね」

「う、うん?」

「それで、うちらに恋の手助けをしてほしいってことね」

「勝手に話を広げないでくれる?」

 鼻息を荒げる安斎さんと、メガネをくもらせる矢野さんに思わずツッコミを入れる。

 百パーセント間違っているかと聞かれたら、うなずけないけど。

「まあまあ、三葉っち。うちらに任せなされ」

「そうそう。すでにプランは思い浮かんでいるのです」

 目を合わせながら、安斎さんと矢野さんはニマニマしている。
 この二人に相談したことが、間違いだったかもしれない。不安しかない。
< 106 / 160 >

この作品をシェア

pagetop