八城兄弟は僕(=わたし)を愛でたい!
「ほい、これあげる」
安斎さんが広げた手のひらには、丸い包み紙が乗っていた。
五百円玉くらいの大きさで、金色をしている。
「なに?」
警戒心をあらわにすると、矢野さんが説明し始めた。
「これは魔法のシャボンと呼ばれるものです。好きな人に食べさせるのです。口にした者は、たちまち恋に落ちるでしょう〜」
スチャッとメガネを押し上げて、迫真の演技をしている。
手にとってみたけど、どう見てもただのチョコレートだ。
魔法は憧れるけど、信じてはいない。
きっと、落ち込んでいるわたしを元気づけてくれたのだろう。
「ありがとう。仲直りできるように、渡してみるよ」
昼休みが終わるチャイムがなった。
先に戻ろうとする後ろから、矢野さんのおだやかな呼びかけが聞こえる。
「くれぐれも、片想いの相手以外には食べさせてはいけませんよ〜」
はーいと手をひらひらして、わたしは教室へ向かった。
「あー、疲れたぁ」
五限目の授業が終わり、まわりがざわつき始める。
机の中に隠していた金の玉を取り出して、じっと眺めた。
ほんのり甘い匂いはするけど、ほんとにチョコレートなのかな。
あの二人が関わると、なんでも怪しく見えてくる。
「お、なんだそれー?」
安斎さんが広げた手のひらには、丸い包み紙が乗っていた。
五百円玉くらいの大きさで、金色をしている。
「なに?」
警戒心をあらわにすると、矢野さんが説明し始めた。
「これは魔法のシャボンと呼ばれるものです。好きな人に食べさせるのです。口にした者は、たちまち恋に落ちるでしょう〜」
スチャッとメガネを押し上げて、迫真の演技をしている。
手にとってみたけど、どう見てもただのチョコレートだ。
魔法は憧れるけど、信じてはいない。
きっと、落ち込んでいるわたしを元気づけてくれたのだろう。
「ありがとう。仲直りできるように、渡してみるよ」
昼休みが終わるチャイムがなった。
先に戻ろうとする後ろから、矢野さんのおだやかな呼びかけが聞こえる。
「くれぐれも、片想いの相手以外には食べさせてはいけませんよ〜」
はーいと手をひらひらして、わたしは教室へ向かった。
「あー、疲れたぁ」
五限目の授業が終わり、まわりがざわつき始める。
机の中に隠していた金の玉を取り出して、じっと眺めた。
ほんのり甘い匂いはするけど、ほんとにチョコレートなのかな。
あの二人が関わると、なんでも怪しく見えてくる。
「お、なんだそれー?」