八城兄弟は僕(=わたし)を愛でたい!
 給食を食べたあと、校内を探索するために階段を降りた。

 この星園学園は中等部と高等部が同じ敷地内にあって、斜め向かい側に見える校舎に高校生の琥珀(こはく)さんが通っている。

 一階の廊下窓から顔を出してみるけど、距離があるから誰が歩いているのか認識はできない。

「……ずっと、好きでした! あの、付き合ってくれると……嬉しいです」

 な、なに⁉︎
 いきなり声がしたと思ったら、連絡通路に誰かいた。

 木の陰に隠れて話しているのは、可愛らしい女の子と後ろ姿からして、おそらく椿くん。

 今のって、もしかしなくても告白だよね。
 盗み聞きするつもりはなかったの。誰だか知らないけど、ごめんなさい。

 最悪なタイミングで覗いてしまったことに罪悪感を感じながら、あわてて上半身を引こうとした。
 ……のだけど、上半分が閉まっていたことを忘れて、思い切り後頭部を打った。

「ーーいっ、たぁ……」

 あまりの衝撃に、耐える間もなく声がもれる。頭を押さえてその場にうずくまっていると。

「俺、女子に興味ないから」

 そっけない声が、風に乗って聞こえて来た。

「それ……どうゆう意味?」
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