八城兄弟は僕(=わたし)を愛でたい!
琥珀さんと、秘密のキラキラデート
「アオイくん、俺とデートしよう」
よく晴れた土曜日の朝。
誰もないリビングで、後ろから抱きつかれると同時にささやきが聞こえた。
「ギャッ! 琥珀さん、驚かさないでください!」
耳を押さえながら、猛ダッシュで距離をとる。
最近、琥珀さんにやたらと絡まれるようになった。原因は、二日前のウイスキーボンボンショコラ事件。
「なんでも言うこと聞いてくれるんでしょ? アオイちゃん」
にこりと笑う顔が、なにか企んでいそうで恐ろしい。
仕方なく琥珀さんに連れられて、外出をする。
藍くんはまだ起きてこないだろうし、椿くんは写真部の集合がかかってしぶしぶ出て行った。逃げ場がなかったのだ。
まず向かったのは、アクセサリーや可愛い服が売っているファッションビル。
電車ですぐ行ける場所にあることは、穂村さんから聞いていたけど。実際に入ったのは、今日が初めて。
最初に、一階の美容室で髪をセットしてもらった。ロングのウィッグをつけてもらい、思わず鏡をのぞき込む。
「……想像より、すごい」
短めの髪型ばかりだったから、不思議だ。変では……ないかな。
「すごく似合ってる。可愛いよ」
息をするように甘い言葉が飛び出してくる。そんな琥珀さんのペースには、乗せられないんだから。
「……どうも」
赤くなりかける顔をあおいで、少し離れて歩く。
見た目が女子らしくなったら、次は服を選ぶ。ワンピースやおしとやかなスカート。カジュアルなデニムスカートをわたしに合わせて、琥珀さんがうなずく。
「こっちのにしよう。これください」
袖がレースになっている水色のワンピースを、店員さんへ渡した。
「えっ、そんなお金ないです!」
小声で訴えたら、琥珀さんがクスッと笑う。
「心配しなくていいよ。今日は、俺に任せて」
よく晴れた土曜日の朝。
誰もないリビングで、後ろから抱きつかれると同時にささやきが聞こえた。
「ギャッ! 琥珀さん、驚かさないでください!」
耳を押さえながら、猛ダッシュで距離をとる。
最近、琥珀さんにやたらと絡まれるようになった。原因は、二日前のウイスキーボンボンショコラ事件。
「なんでも言うこと聞いてくれるんでしょ? アオイちゃん」
にこりと笑う顔が、なにか企んでいそうで恐ろしい。
仕方なく琥珀さんに連れられて、外出をする。
藍くんはまだ起きてこないだろうし、椿くんは写真部の集合がかかってしぶしぶ出て行った。逃げ場がなかったのだ。
まず向かったのは、アクセサリーや可愛い服が売っているファッションビル。
電車ですぐ行ける場所にあることは、穂村さんから聞いていたけど。実際に入ったのは、今日が初めて。
最初に、一階の美容室で髪をセットしてもらった。ロングのウィッグをつけてもらい、思わず鏡をのぞき込む。
「……想像より、すごい」
短めの髪型ばかりだったから、不思議だ。変では……ないかな。
「すごく似合ってる。可愛いよ」
息をするように甘い言葉が飛び出してくる。そんな琥珀さんのペースには、乗せられないんだから。
「……どうも」
赤くなりかける顔をあおいで、少し離れて歩く。
見た目が女子らしくなったら、次は服を選ぶ。ワンピースやおしとやかなスカート。カジュアルなデニムスカートをわたしに合わせて、琥珀さんがうなずく。
「こっちのにしよう。これください」
袖がレースになっている水色のワンピースを、店員さんへ渡した。
「えっ、そんなお金ないです!」
小声で訴えたら、琥珀さんがクスッと笑う。
「心配しなくていいよ。今日は、俺に任せて」