八城兄弟は僕(=わたし)を愛でたい!
一日限りのナイト&プリンセス
『三葉さんって、誰にでもいい顔するってほんと?』
『らしいよ。先生には好かれるけど、友達はいない』
黒い影が集まって、あざ笑っている。
大人しいのは、暗くて地味。
人に合わせて、自分の意思がない。
うつむいて泣いているわたしに、クラスの女の子がブルーのハンカチを貸してくれた。花柄の刺繍がついている、可愛らしいもの。
わたしのゆいいつの、友達だった。救いだった。
何日か経って、返しそびれていたハンカチを渡そうとした。
『ごめん、もう話しかけないで。あのハンカチも、いらない。あげる』
プツリと切られた糸。なんど結び直しても、するりとほどけてしまう。
……待って、行かないで。
ウソをついていたわけじゃないよ。
ほんとうに、面白いと思ったから【同じだよ】って言ったの。
わたしもいいと思ったから、【そうしよう】って答えたの。
『三葉さんは、ただ利用してるだけだよ。一人になりたくないから、友達のふりしてるだけ。一緒にいてくれたら、誰でもいいんだよ』
『友達だと思ってたのに。ウソツキ』
黒い影が、ぐるぐるとわたしのまわりを取り囲む。
やめて、そんなことない。勝手なこと言わないで。
「ーー違うの!!」
ベッドから飛び起きて、上がった息をスーハーと落ち着かせる。
夢、だった。とてもイヤな夢。あまり思い出したくない過去。
涙まみれの目をこすって、スマホに写し出されたスケジュールを見る。
そうだ。今日は、星園学園中等部にとって、一年に一度しか訪れない特別な日だ。
『らしいよ。先生には好かれるけど、友達はいない』
黒い影が集まって、あざ笑っている。
大人しいのは、暗くて地味。
人に合わせて、自分の意思がない。
うつむいて泣いているわたしに、クラスの女の子がブルーのハンカチを貸してくれた。花柄の刺繍がついている、可愛らしいもの。
わたしのゆいいつの、友達だった。救いだった。
何日か経って、返しそびれていたハンカチを渡そうとした。
『ごめん、もう話しかけないで。あのハンカチも、いらない。あげる』
プツリと切られた糸。なんど結び直しても、するりとほどけてしまう。
……待って、行かないで。
ウソをついていたわけじゃないよ。
ほんとうに、面白いと思ったから【同じだよ】って言ったの。
わたしもいいと思ったから、【そうしよう】って答えたの。
『三葉さんは、ただ利用してるだけだよ。一人になりたくないから、友達のふりしてるだけ。一緒にいてくれたら、誰でもいいんだよ』
『友達だと思ってたのに。ウソツキ』
黒い影が、ぐるぐるとわたしのまわりを取り囲む。
やめて、そんなことない。勝手なこと言わないで。
「ーー違うの!!」
ベッドから飛び起きて、上がった息をスーハーと落ち着かせる。
夢、だった。とてもイヤな夢。あまり思い出したくない過去。
涙まみれの目をこすって、スマホに写し出されたスケジュールを見る。
そうだ。今日は、星園学園中等部にとって、一年に一度しか訪れない特別な日だ。