八城兄弟は僕(=わたし)を愛でたい!
「思春期病が治らなくて、ずっと男子のままでも……?」

「問題ない。小二から、ずっと片想いしてるんだ」

 手が触れて、椿くんが指のすき間からギュッと握る。

 心臓は弾け飛びそうなのに、不思議なくらい勇気がわいてくる。

「わたしも、椿くんが好き」

 顔が近づいてきて、くちびるが重なりそうになったとき。バフンと頭がしずんで、バランスをくずした。

「……スカイ?」

 ニャーとイタズラな顔で、わたしたちを見ている。

 お互いに目を合わせて、笑っちゃった。
 まだ早いって、お説教されているみたい。

「こんなところにいた! もう、なにしてるの? 碧、早く来てよ」

「そうだぞ。主役がいないと、始まらないだろ」

 穂村さんと藍くんに引っぱられて、家の中へと連れて行かれる。
 アメリカへ行く前に、みんなと仲直りできてよかった。

 ホッとしているはずなのに、胸の中の小さなもやもやが消えることはなくて、翌日を迎えた。
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