八城兄弟は僕(=わたし)を愛でたい!
「あれ、アオイくんいたの?」

 ごめんね〜と何食わぬ顔で入って来たのは、何も身につけていない琥珀さん。大事なところは、タオルで見えてなくてよかった。

 それにしても、男の人と同じ湯船に浸かるなんて刺激が強すぎる。

「ちょ、ちょっと待ってください! ぼ、僕、今出るんで……」

 立ちあがろうとするけど、まあまあとキラキラスマイルに引き止められて、その場で動けなくなった。

「だいじょうぶ。ここ広いから、遠慮しないで。せっかくだから、少し話そうよ」

 なるべく視点を合わせずに、緊張を最低限で食い止めれば乗り越えられるはず。

 藍くんのおかげで、湯船の中が見えないのがせめてもの救いだ。

「アオイくんってさ、なんか女の子みたいだよね」

「えっ⁉︎ そ、うかな? 言われたこと、ない……ですね」

 怪しまれないように、さりげなく距離をとって視線を下げる。

 うう……、なんとかして早く出ないと。

 だけど、馴染めるようにって、せっかく話す機会を作ってくれているから。話の途中で立ち去るのは、申し訳ないかな。

「さっきサラダばかり食べてたから。カロリー気にするクラスの女の子と同じだなと思って」

「それは、ただ、食べやすかっただけで」

 手前にあったサラダを、ひたすら口に入れていた。居候の身で、ガツガツするわけにもいかないし。

「そうだね。気をつかうなって方が難しいと思うけど、肩の力抜いて」

 琥珀さんの優しさに、胸がジーンとしてしまう。
 それもだけど、なんだか体が(ほて)ってきた。頭がぼんやりして、瞬きが多くなる、

「あの……ちょっと、熱くないですか?」
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