八城兄弟は僕(=わたし)を愛でたい!
「……えっ、?」

 あきれた様子で、さらに不機嫌そうに聞こえる声色。

「イヤならそうはっきり言えばいい。それに、碧は警戒心がなさすぎる」

 怒ってると捉えられる口調に、びくりと肩が反応する。

 迷惑かけたのは事実だけど、警戒心って?
 ハテナを浮かべると同じくらいに、ベッドへ押し倒されていた。

「……椿、くん? あの、僕、男……だよ?」

 なにが起こったのか理解出来ずに、とっさにそんな言葉が口から出る。

「知ってる」

 いつものクールな無表情のまま、椿くんの顔が近づいてきた。

「ちょ、ちょっと待って!」

 とっさに腕をクロスして、ガードを作る。

 女子に興味ないって言ってたのは、ほんとだったの⁉︎
 こんなシチュエーションは、わたしの脳内ではキャパオーバー。
 ど、どうしたらいいのーー!

 心の中で叫んだら、コツンとおでこを弾かれた。

「碧、嘘下手すぎ」

 涙目をそっと開いて、ほへっとしたとぼけ顔になる。
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