八城兄弟は僕(=わたし)を愛でたい!
 さかのぼること二日前。
 清々しい朝の光を浴びて、ドドドと地鳴りのような音を立ててリビングのドアを開ける。

「お母さん、お父さん! ど、どうしよう!」

 胸元までまくし上げたパジャマから、おへそと下着があらわになっている。

 うわっとお父さんは顔を背けたけど、お母さんは興味深そうにペタペタと私の体を触って。

「……やだ、あおちゃん。どこに落として来ちゃったの」

 まな板みたいにペッタンコの胸に向かって、この世の終わりのような声を出した。

「それだけじゃないの! ここ、ここにも何かあるの!」

 おへその下を指差して、半泣きになる。
 起きてすぐ、変な違和感があると思ったの。

 そしたら、女の子にあるものがなくて、変わりにないものが付いていた。

「もしかして、あれか? むかーし耳にしたことがある。思春期の時期にまれに現れるっていう……」

 お父さんの話を聞き終える前に、私はまくし立てるように口を開く。

「明後日から親戚の家で暮らすんだよ? こんなわけのわからないことになって、どうしたらいいの?」
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