八城兄弟は僕(=わたし)を愛でたい!
「アオイくん、椿とケンカでもした?」
「……えっ⁉︎ そうゆうわけでは、ないですけど」
「途中から、あきらかに避けてたでしょ」
なんでも見透かしているような口ぶりで、ゆるりと話す。
のほほんとしていそうで、琥珀さんは意外と鋭い。
当たり障りなく話題を変えるつもりが、先を越される。
「アオイくんってさ、椿のこと好きでしょ」
とうとつな質問に、スポンジからグラスがズレ落ちた。
もう片方でキャッチするけど、動揺はおさまらない。
「僕は、琥珀さんも藍くんも、みんな好きですよ。仲良くしたいって……思ってます」
「俺のことも? うれしいなぁ」
ハハッと笑いながら、琥珀さんが泡のついた指を口元で立てる。
「じゃあ、特別にイイコト教えてあげようか」
「いいこと?」
「椿、好きな子いるよ。もう何年も前から」
パリンと音がして、グラスが割れた。
落とした拍子に、下の皿に当たったのだ。
「あっ、ごめんなさ……」
「触らないで。危ないから」
制止されて、琥珀さんが破片を拾い集めるのを見ているしかなかった。
わたし、なにやってるんだろう。
椿くんが誰を好きだろうと関係ないのに。どうして手が震えるの。
「……すみませんでした」
トゲのようにとがったグラスを袋へ入れて、琥珀さんがぽつりと。
「ダメだよ。やるなら徹底しないと」
「……えっ⁉︎ そうゆうわけでは、ないですけど」
「途中から、あきらかに避けてたでしょ」
なんでも見透かしているような口ぶりで、ゆるりと話す。
のほほんとしていそうで、琥珀さんは意外と鋭い。
当たり障りなく話題を変えるつもりが、先を越される。
「アオイくんってさ、椿のこと好きでしょ」
とうとつな質問に、スポンジからグラスがズレ落ちた。
もう片方でキャッチするけど、動揺はおさまらない。
「僕は、琥珀さんも藍くんも、みんな好きですよ。仲良くしたいって……思ってます」
「俺のことも? うれしいなぁ」
ハハッと笑いながら、琥珀さんが泡のついた指を口元で立てる。
「じゃあ、特別にイイコト教えてあげようか」
「いいこと?」
「椿、好きな子いるよ。もう何年も前から」
パリンと音がして、グラスが割れた。
落とした拍子に、下の皿に当たったのだ。
「あっ、ごめんなさ……」
「触らないで。危ないから」
制止されて、琥珀さんが破片を拾い集めるのを見ているしかなかった。
わたし、なにやってるんだろう。
椿くんが誰を好きだろうと関係ないのに。どうして手が震えるの。
「……すみませんでした」
トゲのようにとがったグラスを袋へ入れて、琥珀さんがぽつりと。
「ダメだよ。やるなら徹底しないと」