八城兄弟は僕(=わたし)を愛でたい!
「えっ? なんですか?」

 あまりに小さすぎて、よく聞こえなかった。

「アオイくんって、しっかりしてそうでおっちょこちょいだね」

 袋の端をキュッと結びながら、琥珀さんがハハッと白い歯を見せる。

「いろいろ迷惑かけて、すみませんでした」

 泡がついたまま、申し訳なく眉を下げた。

 このグラスも高そうだし、弁償しなくちゃいけないかな。
 怪我させてたかもしれないし、もっと気をつけないと。

「じゃあ、お礼もらっていい?」

「……お礼?」

 頬にチュッとくちびるが当たって、流し台にガタンとひじが落ちる。

 近すぎる顔に、一瞬思考が停止した。
 な、なにが起こったの⁉︎

 とっさに手を出していたから、床も琥珀さんの服も泡だらけになった。

「な、にするんですか……!」

 染まり上がる頬に対して、頭はまだ追いついていない。
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