八城兄弟は僕(=わたし)を愛でたい!
ドキッとするけど、心を落ち着かせながら冷静に。
「べ、べつに、なにも」
ほんの一瞬触れただけ。
でも、椿くんに知られたくない。
ーー椿、好きな子いるよ。もう何年も前から。
ウソカレだから、他に想ってる人がいるからじゃなくて。もっと違うなにかが、胸の中を飛んでいる。
「……嘘だ」
「えっ、そんなこと……ない」
「碧、すぐ顔に出るから」
怪しむような口ぶりで、坂を上る。
赤い屋根の校舎が見えてきて、わたしたちは黙ったまま校門をくぐった。
正門玄関へ着く前に、椿くんが女の子に呼び止められて、校舎の裏へと歩いていく。
また告白でもされるのかな。ざわざわと胸が落ち着かない。
「三葉っち!」
ぼんやり眺めていた後ろ姿が、くっきりと浮かび上がる。
急に声をかけて来たのは、この前つめよって来たスクールカースト一軍の女子。たしか、穂村さんだ。
「ちょっと来てよ」
強引に腕を引かれて、別棟の方へ連れて行かれた。
こんどはなに?
また、椿くんとのことを聞かれるのかな。
短いスカートを揺らしながら、くるりとこちらを振り向くと、わたしの体を追い込むように穂村さんが壁に手をつく。
女の子に、初めて壁ドンされてしまった。
「……あのさ、言っておきたいことあるんだけど」
「な、んでしょう」
「べ、べつに、なにも」
ほんの一瞬触れただけ。
でも、椿くんに知られたくない。
ーー椿、好きな子いるよ。もう何年も前から。
ウソカレだから、他に想ってる人がいるからじゃなくて。もっと違うなにかが、胸の中を飛んでいる。
「……嘘だ」
「えっ、そんなこと……ない」
「碧、すぐ顔に出るから」
怪しむような口ぶりで、坂を上る。
赤い屋根の校舎が見えてきて、わたしたちは黙ったまま校門をくぐった。
正門玄関へ着く前に、椿くんが女の子に呼び止められて、校舎の裏へと歩いていく。
また告白でもされるのかな。ざわざわと胸が落ち着かない。
「三葉っち!」
ぼんやり眺めていた後ろ姿が、くっきりと浮かび上がる。
急に声をかけて来たのは、この前つめよって来たスクールカースト一軍の女子。たしか、穂村さんだ。
「ちょっと来てよ」
強引に腕を引かれて、別棟の方へ連れて行かれた。
こんどはなに?
また、椿くんとのことを聞かれるのかな。
短いスカートを揺らしながら、くるりとこちらを振り向くと、わたしの体を追い込むように穂村さんが壁に手をつく。
女の子に、初めて壁ドンされてしまった。
「……あのさ、言っておきたいことあるんだけど」
「な、んでしょう」