八城兄弟は僕(=わたし)を愛でたい!
「こんなの、まだ全然ダメだ」
悔しそうに口をへの字にして、ため息まじりに。
「音楽祭の学年曲、ピアノ頼まれてさ。やるからには、完璧にしておきたいだろ」
藍くんって、もっと無関心で、どちらかと言うと、一生懸命になるのはカッコ悪いって思ってるイメージだった。
こんなふうに悔しそうにして、クラスのために陰で必死に練習していたなんて。
「僕でよければ、練習付き合うよ。詳しいことは分かんないけど、感想なら言えるし」
少し間をあけて、てれくさそうに唇をとがらせながら。
「……サンキュ」
藍くんは小さく笑った。その顔が思いのほか可愛くて、わたしもつられて頬を上げた。
帰りの音楽が鳴って、藍くんがけんばんのフタを閉じる。
気付いたら、あれから二十分も経っていたらしい。
はっきり言うと、最初と最後の違いはそこまで分からなかったけど、伸びやかで癒される音だったことは確かだ。
「付き合ってくれた礼っつうか、碧に面白いこと教えてやるよ」
相変わらずの上から目線に戻って、思わず吹き出しそうになった。
「なに?」
「椿の学生証のケース、中見てみな」
「……学生証?」
悔しそうに口をへの字にして、ため息まじりに。
「音楽祭の学年曲、ピアノ頼まれてさ。やるからには、完璧にしておきたいだろ」
藍くんって、もっと無関心で、どちらかと言うと、一生懸命になるのはカッコ悪いって思ってるイメージだった。
こんなふうに悔しそうにして、クラスのために陰で必死に練習していたなんて。
「僕でよければ、練習付き合うよ。詳しいことは分かんないけど、感想なら言えるし」
少し間をあけて、てれくさそうに唇をとがらせながら。
「……サンキュ」
藍くんは小さく笑った。その顔が思いのほか可愛くて、わたしもつられて頬を上げた。
帰りの音楽が鳴って、藍くんがけんばんのフタを閉じる。
気付いたら、あれから二十分も経っていたらしい。
はっきり言うと、最初と最後の違いはそこまで分からなかったけど、伸びやかで癒される音だったことは確かだ。
「付き合ってくれた礼っつうか、碧に面白いこと教えてやるよ」
相変わらずの上から目線に戻って、思わず吹き出しそうになった。
「なに?」
「椿の学生証のケース、中見てみな」
「……学生証?」