八城兄弟は僕(=わたし)を愛でたい!
 振り返ると、怖そうな女子が二人。眉間にしわを寄せて、わたしたちをじろりと見下ろしていた。

 もしかして、噂の風紀委員?

 あわあわしているのはわたしだけで、他のみんなは冷静な態度。特に椿くんなんて、穴が開くほど見つめられているのに、顔色ひとつ変えない。

「あっ、あなたって、八城椿くんじゃない?」

 先輩の表情から、瞬時に花が咲いた。
 ほんとだ、ともう一人も乙女の顔になる。

「じゃあ、そっちは藍くんと三葉くんね?」

 きらめく瞳にのぞき込まれて、ドキッとする。

 この人たち、よく見るとキレイ。大人っぽくて、さすが高校生だ。

 わたしたちは、先輩たちに誘導されて別棟の校舎へ向かった。

 安斎さんの言う通り、八城兄弟は高等部でも人気があるらしい。

 一度でいいから会いたいという人もいるようで、特別に案内してくれるのだとか。

 そこに、わたしなんかが混ざっていいのかな。

 不安になりながら連れられたのは、なにやら神々(こうごう)しい部屋。まるで王様が住むお城みたいに立派で、ここだけ空間が違う。

 教室のドアに掛けられたプレートを見て、思わず復唱した。

「……生徒会室?」
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