八城兄弟は僕(=わたし)を愛でたい!
盗まれたハートとお守り
 八城家の生活にも、少しずつ慣れてきた。

 相変わらず、男子になったり女子に戻ったりを繰り返しているけど、今のところ椿くん以外にはバレていない。

 琥珀さんの態度からして、もしかしたら……と心配した時もあったけど、わたしの思いすごしだったみたい。

 あのオオカミたちって言っていたのは、クラスメイトのことで、何かを忠告しようとしていたのかな。

 ウソツキ赤ずきんって意味が、よく分からないけど。

「ちょっと、いい?」

 お風呂が終わって、洗面所で髪を乾かしていたところ、神妙な面持ちをした藍くんが入ってきた。

 これはただゴトではないと察して、ドライヤーのスイッチを切る。

「どうしたの?」

「珀や椿に聞かれたくないから、オレの部屋で話せない?」

 改まった感じが、妙に緊張感をかもし出していた。

 藍くんの部屋は、一番角っこ。初めて入ったけど、それなりに整理されている。
 サッカーボールや選手のタオルが飾ってあって、新鮮だ。

 床に向き合って座りながら、藍くんが口を開く。少し言いづらそうにして。

「実はさ、最近、つけられてる気がするんだ」
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