八城兄弟は僕(=わたし)を愛でたい!
 学校が終わって、生徒たちが帰り始める頃。藍くんの後をつけて、不審な人が現れないか待ち伏せていた。

 今のところ、ストーカーらしき人物は見当たらない。

 制服のポケットにスマホを忍ばせておいたし、走りやすいようにスニーカーを履いてきた。証拠を抑える準備はオッケー。

 トントンと肩を叩かれて、ビクッとなる。
 気付けば、両サイドに安斎さんと矢野さんがいた。

「えっ、二人ともなにしてるの⁉︎」

 こそっと話しかけると、安斎さんが首からかけたカメラを構えて。

「なんか楽しそうなことしてるなーと思って。漫画のネタに、お供させてよん」

「遊びじゃないんだけどな」

「うちらだって、真剣ですよ? ねっ、アイちゃん」

 キラキラとメガネを輝かせながら、矢野さんがノートとペンを握っている。

 どうしよう。不安しかない。

 ベッタリとくっつかれていて、引き下がる様子もなさそうだから、仕方なしに事情を説明した。

「それは一大事じゃ! 協力するよ。これが解決したら、例のシチュエーション頼むぞ〜」

「……邪魔だけはしないでね」

「りょーかいです〜!」

 いつのまにか取り引き成立となっていて、完成に二人のペースに飲まれている。アイマイコンビはあなどれない。

 少し進むと、藍くんの後ろに影が現れた。茂みに隠れて、まわりの様子をうかがっている。

 あの二人組、あきらかに挙動不審であやしい。
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