八城兄弟は僕(=わたし)を愛でたい!
 少し離れたところから、様子を見ながらついて行く。
 藍くんは、家とは違う方へ向かっている。わざとだろう。

 神社の前を通りかかったとき、わたしの足が止まった。

 赤い鳥居に巻き付く龍。この神社……やっぱり見たことがある気がする。

南雲(なぐも)神社がどうかした?」

 安斎さんが、わたしの腕にぐっと絡みつきながら首をかしげた。

「南雲神社って言うんだ。ここ」

 それほど大きくはないけど、奥に見える建物はしっかりしている。

「そうそう。このあたりでは有名なんですよ。三葉くんは転校生だから、知らなくても当然ですよね〜」

 反対の腕も、矢野さんにギュッとしがみつかれて、なんだか落ち着かない。

 今は男子の姿なのだから、両手に花というやつだ。悪い気はしない。モテる人は、こんな気分なのかな。

 複雑な気持ちになっていると、安斎さんに腕をグイッと引っ張られた。

「三葉っち、見て。あの二人組、なんかしようとしてる」
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