八城兄弟は僕(=わたし)を愛でたい!
近くの公園へ移動した。
ベンチに座ったまま、女の子は何も話そうとしない。
藍くんは、少し怒った様子で腕を組んで立っているし、安斎さんと矢野さんはちょっと興奮気味にキラキラと目を光らせている。
この状況……どうしたものか。
一度心を落ち着かせて、そばにあった水道でハンカチを濡らした。血がにじんでいる彼女のひざを、軽くたたく。
「えっ、なにして……!」
「洗えるなら、傷口洗った方がいいよ。菌が入るといけないから」
「そ、そうじゃなくて! それ、汚れちゃったじゃん」
ハンカチのことだろう。パステルブルーに、赤い色がついた。
だって、ほっとけないんだもん。この子がしたことは許されることじゃないけど、今は怪我が優先。
「三葉っち、やっさしいー」
「じ、自分でやります」
安斎さんの言葉に、女の子が立ち上がって血を洗い出す。
どうせ汚れたからと、ハンカチの裏側で水をふいた。申し訳なさそうにする女の子に、藍くんが絆創膏を差し出した。
「……えっ」
「これ貼ったら、返せよ。その反対の手に握りしめてるもの」
驚いていたけど、小さくうなずいて涙を流している。ごめんなさいと、何度もつぶやいて。
強く閉じられていたこぶしが、ゆっくり開いていく。
手のひらの中には、小さなお守りがあった。
ベンチに座ったまま、女の子は何も話そうとしない。
藍くんは、少し怒った様子で腕を組んで立っているし、安斎さんと矢野さんはちょっと興奮気味にキラキラと目を光らせている。
この状況……どうしたものか。
一度心を落ち着かせて、そばにあった水道でハンカチを濡らした。血がにじんでいる彼女のひざを、軽くたたく。
「えっ、なにして……!」
「洗えるなら、傷口洗った方がいいよ。菌が入るといけないから」
「そ、そうじゃなくて! それ、汚れちゃったじゃん」
ハンカチのことだろう。パステルブルーに、赤い色がついた。
だって、ほっとけないんだもん。この子がしたことは許されることじゃないけど、今は怪我が優先。
「三葉っち、やっさしいー」
「じ、自分でやります」
安斎さんの言葉に、女の子が立ち上がって血を洗い出す。
どうせ汚れたからと、ハンカチの裏側で水をふいた。申し訳なさそうにする女の子に、藍くんが絆創膏を差し出した。
「……えっ」
「これ貼ったら、返せよ。その反対の手に握りしめてるもの」
驚いていたけど、小さくうなずいて涙を流している。ごめんなさいと、何度もつぶやいて。
強く閉じられていたこぶしが、ゆっくり開いていく。
手のひらの中には、小さなお守りがあった。