数式の空
そして、君はガロアとアーベルについて延々と語った。

「もう、五時だよ」

「帰らなきゃということなのか!」

でも、わたしは君に何も言わなかった。

ついに黙ったままだった。

彼方に映るのは紅毛碧眼の君だった。

わたしはもう無一文だった。

がむしゃらに君の影を追いかけていたのだった!

「嗚呼、なんてことだ!君の美しさに気づかなかったのは!最後まで、君の影ばかりを追い求めて、君自身をついに何も知らなかったのだ!」

わたしを知らない君。

君を知らないわたし。

すっかり、夜半を過ぎて夜露が降りてひとりになっていたのはわたしだった。

彼方にある。

「紅毛碧眼の......」

それは青空だった。
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