魅了たれ流しの聖女は、ワンコな従者と添い遂げたい。
「私、宿屋さんに泊まるの初めて!」
部屋をぐるりと見回す。
白い漆喰の壁に小さな絵が掛かっていて、装飾はそれだけ。あとは、木製の洋服掛けとベッドが一つと小さなテーブルを挟んで椅子が二つ。それで、部屋はいっぱいだった。
(あのベッドでカイルと寝るの?)
それはいつも寝ているベッドの半分以下の大きさで、一人用にしても小さいと思う。しかも、私には計画があった。
ドキドキしながら、ベッドを見つめた。
横にドアがあったから開いてみたら、洗面台とその奥に小さな浴室があった。
「先に湯浴みされますか?」
「ううん、夕食をいただいてからにするわ」
夕ご飯は一階の食堂で食べられるということだった。
馬車に乗っていただけだというのに、お腹がペコペコで、カイルと一緒に食堂に行った。
品数は少ないけど、温かい美味しい料理に舌鼓を打つ。
王宮の料理は部屋に運んでくれる代わりに、いつも冷めているので、できたてというだけでもうれしい。
ご飯が終わって部屋に戻ると、カイルがお風呂を用意してくれた。
ゆったりお湯に浸かる。気持ちいい。
思ったより疲れていて、眠気が押し寄せる。
うとうとしてジャブンと顔が湯に浸かってしまって、びっくりして飛び起きた。
その勢いで、お風呂をあがって、カイルが用意してくれていた服に着替えた。
「カイルもお風呂使って」
「ありがとうございます」
荷物整理をしていたカイルに声をかけると、浴室に行った。
明日も朝早いから、早く寝なきゃね。
ベッドに転がってカイルを待っていたら、寝てしまいそうだったので、椅子に座り直した。
しばらくすると、犬の姿になったカイルが出てきた。
私が起きているのを見て、咎めるようにクゥーンと鳴いた。
「あのね、カイル。私、思ったんだけど……」
「わん?」
カイルが私の前でおすわりして、首を傾げる。
かわいい。
思わず抱きついてモフモフする。
「キュ〜〜ン」
驚いたのか、カイルがジタバタした。
こんなことをしている場合じゃなかったわ。
私は気を取り直して、カイルの目を見つめた。
「あのね、カイルって今、裸でしょ?」
「ワ、ワン」
「それだと、誰かが襲ってきて逃げないといけないときに不便だと思うの。だから、この旅の間は人の姿で寝るようにして?」
「ワン、ワワン!」
カイルは抗議するように首を振った。
「だーめ! だって、犬の姿じゃ、私を抱えて逃げられないし、人の姿に戻っても裸じゃ恥ずかしいでしょ?」
「ク〜ン」
「わかった? じゃあ、人の姿に戻って、服を着てきて」
洗面所を指差すと、すごすごと頭を下げてカイルは歩いていった。
洗面所に入る前に訴えるように振り返って私を見たけれど、私は首を横に振った。
ほどなく人の姿に戻ったカイルが出てきた。
私は満面の笑みを浮かべて、カイルに手を差し伸べた。
「さぁ、寝ましょ?」
部屋をぐるりと見回す。
白い漆喰の壁に小さな絵が掛かっていて、装飾はそれだけ。あとは、木製の洋服掛けとベッドが一つと小さなテーブルを挟んで椅子が二つ。それで、部屋はいっぱいだった。
(あのベッドでカイルと寝るの?)
それはいつも寝ているベッドの半分以下の大きさで、一人用にしても小さいと思う。しかも、私には計画があった。
ドキドキしながら、ベッドを見つめた。
横にドアがあったから開いてみたら、洗面台とその奥に小さな浴室があった。
「先に湯浴みされますか?」
「ううん、夕食をいただいてからにするわ」
夕ご飯は一階の食堂で食べられるということだった。
馬車に乗っていただけだというのに、お腹がペコペコで、カイルと一緒に食堂に行った。
品数は少ないけど、温かい美味しい料理に舌鼓を打つ。
王宮の料理は部屋に運んでくれる代わりに、いつも冷めているので、できたてというだけでもうれしい。
ご飯が終わって部屋に戻ると、カイルがお風呂を用意してくれた。
ゆったりお湯に浸かる。気持ちいい。
思ったより疲れていて、眠気が押し寄せる。
うとうとしてジャブンと顔が湯に浸かってしまって、びっくりして飛び起きた。
その勢いで、お風呂をあがって、カイルが用意してくれていた服に着替えた。
「カイルもお風呂使って」
「ありがとうございます」
荷物整理をしていたカイルに声をかけると、浴室に行った。
明日も朝早いから、早く寝なきゃね。
ベッドに転がってカイルを待っていたら、寝てしまいそうだったので、椅子に座り直した。
しばらくすると、犬の姿になったカイルが出てきた。
私が起きているのを見て、咎めるようにクゥーンと鳴いた。
「あのね、カイル。私、思ったんだけど……」
「わん?」
カイルが私の前でおすわりして、首を傾げる。
かわいい。
思わず抱きついてモフモフする。
「キュ〜〜ン」
驚いたのか、カイルがジタバタした。
こんなことをしている場合じゃなかったわ。
私は気を取り直して、カイルの目を見つめた。
「あのね、カイルって今、裸でしょ?」
「ワ、ワン」
「それだと、誰かが襲ってきて逃げないといけないときに不便だと思うの。だから、この旅の間は人の姿で寝るようにして?」
「ワン、ワワン!」
カイルは抗議するように首を振った。
「だーめ! だって、犬の姿じゃ、私を抱えて逃げられないし、人の姿に戻っても裸じゃ恥ずかしいでしょ?」
「ク〜ン」
「わかった? じゃあ、人の姿に戻って、服を着てきて」
洗面所を指差すと、すごすごと頭を下げてカイルは歩いていった。
洗面所に入る前に訴えるように振り返って私を見たけれど、私は首を横に振った。
ほどなく人の姿に戻ったカイルが出てきた。
私は満面の笑みを浮かべて、カイルに手を差し伸べた。
「さぁ、寝ましょ?」