魅了たれ流しの聖女は、ワンコな従者と添い遂げたい。

裸に、ならないの?

  俺は覗き込んでくるアイリ様の肩に手を置き、目を合わせた。

「本当にいいのですか? 一度、始めたら、もう止まれる自信がありませんよ?」

 俺の言葉に顔を赤らめながらもアイリ様はしっかりとうなずいてくれた。

「うん。カイルがいいの。カイルじゃないと嫌なの」

 その恥じらった表情、うるうるな瞳、ぷるんとした唇。
 壮絶に可愛い。
 世の中にこれほどまでに可愛らしい存在があるか? いやない!

(きゅ~~~んっ!!! 食べてしまいたい! いや、食べていいのか? 本当に?)

 そっとアイリ様の顔にかかった髪を耳にかけ、頬を親指でなでる。
 くすぐったそうに、幸せそうに、アイリ様が微笑むから、心臓麻痺を起こしそうだ。
 耐えきれず、その魅惑の唇に触れた。
 一度は触れるだけのキス。
 そして、すぐにまた唇を押しつけた。
 感じたことのないほどやわらかで心地よい弾力。それをもっと味わおうとペロペロ舐めたら、アイリ様が甘い吐息をつき、唇が開いた。湿った息が漏れてくるそこに舌を入れる。
 すると、アイリ様がビクッと体を震わしたので、慌てて口を離した。

「す、すみません。調子に乗りました!」
「違うの! いいの! びっくりしただけ。キスってこんなふうにするのね」

 ピンクのほっぺにキラキラおめめで「続けて?」とねだるアイリ様は誘惑の天才だ。
 抗えるはずがない。

 もう一度、口づけると、アイリ様は誘うように口を開けた。様子を伺いつつ、舌を入れる。
 温かく湿ったアイリ様の中を念入りに舌で探る。
 どこもかしこも甘くて、夢中になって、口の中を貪った。
 舌で歯裏をなぞり、上あごをなでると、アイリ様が「んんっ」と甘い声をあげ、俺の胸に置いた手に力が入った。
 しばらくアイリ様の口を味わってから、一旦、口を離すと、とろんとした目でアイリ様が見つめてくる。
 ベッドの前にしゃがみこんでキスをしていたことに気づき、アイリ様の両脇に手を入れると、持ち上げ、そっとベッドに下ろした。
 俺も続けてベッドに乗ると、そのままアイリ様を押し倒した。
 白いシーツの上に花開くように、アイリ様のピンク色の髪が広がった。
 期待に満ちた目で、アイリ様が見上げてくる。
 
 ゴクンと唾を呑み込む。

(うつくしかわいい!!! なんて試練だ。もうカイルは耐えられません。っていうか、本当に耐えなくていいのですか!?)

 もう一度、キスをして、耳をはむはむする。
 意を決して、胸のふくらみに触れてみる。

(なんてやわらかさだ……)

 下着をつけていない胸は布一枚の隔たりしかなくて、感動の手触りを伝えてくる。それを確かめるようにモミモミ、反対側もモミモミモミモミ、ひたすら繰り返していたら、身をくねらせていたアイリ様に切なげに聞かれた。

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