魅了たれ流しの聖女は、ワンコな従者と添い遂げたい。
まだ完全には結ばれていないと知って、がっかりしたけど、カイルが私のお腹を愛おしげになでると、キュンとした。
「クッ……」
「カイル、大丈夫? 痛いの?」
うめいたカイルの頬に手を当て聞くと、「気持ちよすぎるだけです」と返されて、にっこりとした。
「カイルが気持ちよくてよかった!」
目を瞠ったカイルは私の肩に顔をうずめ、「天使だ……可愛すぎる……」とつぶやいた。
低くささやく声に顔が熱くなる。
すぐ顔をあげたカイルは、じっと私を見る。切羽詰まった様子だ。
「まだ痛いですか?」
「ううん、もう大丈夫みたい」
「では、動いてもいいですか?」
「うん。好きにして」
そう言うとカイルはガクッと頭を垂れて、「これ以上、煽らないでください」とつぶやいた。
カイルが腰を動かし始めると、さっきの痛さはどこかにいっちゃって、頭がしびれるような快感に襲われた。
(なにこれ、なにこれ、気持ちいい!!!)
頭の中が気持ちいいに埋め尽くされる。
すると──
「くぅぅぅ〜〜〜、なんて可愛らしいんだ!!! アイリ様は可愛くてエロくて最高です!!!」
カイルが叫んだ。
いつの間にか、尻尾が出ていて、機嫌よさそうにブンブン振られている。
そればかりか、「可愛い……可愛い……信じられない。アイリ様とこんな……ここは天国か……?」と言葉が止まらない。
「カイル?」
いつもと違うカイルの様子にびっくりして、声をあげると、ビシッとカイルが固まった。チラッと私を見るとうなだれる。尻尾もしょぼんとたれて、丸まった。
「すみません。俺、口に出してましたよね……」
急変したカイルの頬に手を伸ばす。
「どうして謝るの? いきなり叫ぶから驚いたけど」
「すみません。アイリ様が可愛すぎて、いつも俺は心の中で叫んでました。こんな俺は嫌ですよね?」
髪の毛から出ていたケモ耳がへにょんと垂れて、カイルの心情を伝えてくる。
かわいい。