魅了たれ流しの聖女は、ワンコな従者と添い遂げたい。
 オランが御者台にいるときは、こっそりカイルとキスをした。
 夜は私が疲れないようにと、カイルは『結ばれる』ことをしてくれなくて、また犬の姿で寝るようになってしまった。
 ひさびさのモフモフを堪能して、犬のカイルを抱きしめて寝る日々は心地よく、それはそれで安眠できてよかった。

 あるとき、宿でたっぷりキスをしたあと、お風呂場に行ったカイルが「うぅ、うれしいけど、つらい……」とつぶやいているのが聞こえて、慌ててお風呂場に飛び込んだ。

「カイル、どうしたの!? なにかつらいの!?」

 私が聞くと、カイルはうろたえた。

「あ、え、す、すみません。みっともないところをお見せして」
「ううん、私が勝手に入ってきたんだもん。あのね、カイルがつらいなら、あの『結ばれる』っていうのをしてもいいのよ?」

 なんだかねだっているようで、言ってて顔が熱くなった。
 カイルの尻尾がふぁさっと出てきた。

「ア、アイリ様、俺の理性の限界を試さないでください」

 眉を寄せて、カイルが悩ましげな顔をした。そんなカイルはとても色っぽい。
 深い青の瞳がこころなしかギラギラしている気がする。

「試してなんかいないわ。本当にいいのよ?」

 私は彼に抱きついた。
 くぅぅっと喉を鳴らしたカイルは、急に私を抱きあげ、ダダッとベッドまで走った。
 彼にしては乱暴に私をベッドに下ろすと、覆いかぶさってくる。

「アイリ様、すみません。俺はもう限界です!」

 余裕なく言ったカイルは私の顔を舐め回した。
 
「ふふっ、カイル、くすぐった……ぁあん……」

 笑っている間に首筋を舐められて、ヘンな声を出してしまう。
 カイルはそこを舐めたり軽く歯を立てたりしながら、私の体をなで、ワンピースを脱がせていった。
 胸をモミモミされると、さらに甘ったるい声が漏れ、隣の部屋のオランに聞こえそうで、慌てて手で口をふさいだ。
 それに気づいたカイルが、私の手を優しく取り外すと、自分の口で私の口をふさいだ。
 私たちはあの『結ばれる』を一回すると、抱き合った。

「幸せ……」

 私がつぶやくと、「俺もです。もう死んでもいいくらい幸せです」とカイルがつぶやいて、頬にキスをくれた。

「死んだらダメよ! 私が悲しいわ」
「それなら、生きます! ずっと生きます!」
「うふふ、カイルったら」

 こんなふうに、浄化しながら、ときどきカイルとくっついてイチャイチャしながら、王都に戻ってきた。
 この先は、明るい未来しかないと思ってた。

 
 
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