魅了たれ流しの聖女は、ワンコな従者と添い遂げたい。
じわじわと頭がその言葉の意味を理解していくと、とてつもない喜びに満たされた。
「もちろんよ、カイル!」
御前ということも忘れ、カイルに抱きついた。
久しぶりのカイルの匂いは変わっていなかった。
私を抱きとめ、カイルは陛下に向き直った。
「私はアイリ様との結婚を望みます」
「許そう」
「有難き幸せにございます」
本当に幸せそうにカイルが微笑むので、私は胸がいっぱいになって、涙をこぼした。
「二人でスクルーナ地方を治めるといい。だが、慣れないこともあろうから、お前たちがよければ、今いる代官をそのまま引き継ごう」
「お心遣い、痛み入ります」
陛下のお言葉に、慌てて姿勢を正した。
そのあと、私がまだふわふわしているうちに、祝賀パーティーに移って、気がつくと、エブリア様と王太子殿下がファーストダンスを踊っていた。
「素敵……」
迫力のある美男美女が、お互いをひたっと見つめて優雅にステップを踏む。
銀色と紅色の髪が揺れて、きらめき、これ以上なく華やかだった。
その姿を見ながらも、私はもう離れないとばかりに、カイルの腕にしがみついていた。
「素敵なのはアイリ様ですよ」
カイルが熱い眼差しでそんなことを言ってくれるから、頬がほてる。
カイルったら!
「次は俺たちが踊るそうです」
「えぇっ! カイルは踊れるの?」
「この日のために、特訓しました」
「そうなの?」
今日のために特訓したってことは、前から計画されていたことなんだ。
カイルにいろいろ聞きたいことがたくさんある。
でも、その前にダンスだ。
私も一応ダンスを習ったことはあるけど、舞踏会に出ることなんてほとんどなかったから、全然自信がない。しかも、こんな大勢の前でなんて!
「カイル〜、無理だよ〜」
泣きつくと、カイルは励ますかのように微笑んで、耳もとでささやいた。
「俺に任せてください。守るって言ったでしょ?」
頼もしい。
そんなカイルに、キュンが止まらない。
「さぁ、行きましょう」
カイルは私をエスコートして、堂々と広間の中央へと進み出る。
音楽が始まり、ステップを踏み始めた。
最初はガチガチに固まって、カイルの足を踏みそうだったけど、しばらくすると、カイルがしっかりリードしてくれるから、身を任せていたらいいのに気がついて、力が抜けた。
うつむいていた顔をあげると、愛しげに私を見下ろすカイルと目が合った。
「カイル、よかったわ」
「なにがですか?」
私をくるりと回転させて、自然に抱きとめる。
相当練習したのね。
それが私のためだと思うとうれしい。
「もちろんよ、カイル!」
御前ということも忘れ、カイルに抱きついた。
久しぶりのカイルの匂いは変わっていなかった。
私を抱きとめ、カイルは陛下に向き直った。
「私はアイリ様との結婚を望みます」
「許そう」
「有難き幸せにございます」
本当に幸せそうにカイルが微笑むので、私は胸がいっぱいになって、涙をこぼした。
「二人でスクルーナ地方を治めるといい。だが、慣れないこともあろうから、お前たちがよければ、今いる代官をそのまま引き継ごう」
「お心遣い、痛み入ります」
陛下のお言葉に、慌てて姿勢を正した。
そのあと、私がまだふわふわしているうちに、祝賀パーティーに移って、気がつくと、エブリア様と王太子殿下がファーストダンスを踊っていた。
「素敵……」
迫力のある美男美女が、お互いをひたっと見つめて優雅にステップを踏む。
銀色と紅色の髪が揺れて、きらめき、これ以上なく華やかだった。
その姿を見ながらも、私はもう離れないとばかりに、カイルの腕にしがみついていた。
「素敵なのはアイリ様ですよ」
カイルが熱い眼差しでそんなことを言ってくれるから、頬がほてる。
カイルったら!
「次は俺たちが踊るそうです」
「えぇっ! カイルは踊れるの?」
「この日のために、特訓しました」
「そうなの?」
今日のために特訓したってことは、前から計画されていたことなんだ。
カイルにいろいろ聞きたいことがたくさんある。
でも、その前にダンスだ。
私も一応ダンスを習ったことはあるけど、舞踏会に出ることなんてほとんどなかったから、全然自信がない。しかも、こんな大勢の前でなんて!
「カイル〜、無理だよ〜」
泣きつくと、カイルは励ますかのように微笑んで、耳もとでささやいた。
「俺に任せてください。守るって言ったでしょ?」
頼もしい。
そんなカイルに、キュンが止まらない。
「さぁ、行きましょう」
カイルは私をエスコートして、堂々と広間の中央へと進み出る。
音楽が始まり、ステップを踏み始めた。
最初はガチガチに固まって、カイルの足を踏みそうだったけど、しばらくすると、カイルがしっかりリードしてくれるから、身を任せていたらいいのに気がついて、力が抜けた。
うつむいていた顔をあげると、愛しげに私を見下ろすカイルと目が合った。
「カイル、よかったわ」
「なにがですか?」
私をくるりと回転させて、自然に抱きとめる。
相当練習したのね。
それが私のためだと思うとうれしい。