華夏の煌き
「実は春衣が身籠ったんだ。それで今頃、側室にするのだろう」
ぽかんとする星羅に明樹は優しく笑う。
「男と女のことはよくわからないよな。しかも母上が春衣にいい縁談の話を持ってきていてさ。それが、ご破算になったからまた気まずいったらさ」
「絹枝老師はお辛いでしょうね」
誰かをまだ愛したことはない星羅だが、自分の育ての父母、彰浩と京湖の仲の良さを思うと絹枝に同情した。
「どうかな。母上はもともと一人くらい側室を置いてもよいとお考えだったし」
学業に熱心な絹枝は、夫婦関係にはドライらしく、他所で派手に遊ばれるより側室を抱えるほうが良いと考えるようだ。
「明にいさまに弟か妹ができるわね」
「そういえばそうだな」
からっとした明樹もそれほど気にしていないようだ。一番慶明が複雑そうな雰囲気を醸し出していることが星羅にはわからなかった。
「そろそろにいさまも、ご結婚かしら」
「ああ、母上もそんなこと言ってたな」
「もう誰かを娶ってもよいころね」
「その辺は母上に任せるさ」
軽い会話を楽しみ二人は別れた。陸家の使用人が、彼女の馬、優々を連れてきてくれた。礼を言い、さっと馬にまたがる。
「さて優々、帰りましょう」
優々はヒヒンと返事をして駆け出す。西日を追いかけると星羅の空色の着物が朱色に染まる。
「わたしもいつか結婚するのかしら」
全く想像ができなかった。それよりも軍師として身を立て、母、胡晶鈴を探し出すことが星羅にとって大事なことだった。
ぽかんとする星羅に明樹は優しく笑う。
「男と女のことはよくわからないよな。しかも母上が春衣にいい縁談の話を持ってきていてさ。それが、ご破算になったからまた気まずいったらさ」
「絹枝老師はお辛いでしょうね」
誰かをまだ愛したことはない星羅だが、自分の育ての父母、彰浩と京湖の仲の良さを思うと絹枝に同情した。
「どうかな。母上はもともと一人くらい側室を置いてもよいとお考えだったし」
学業に熱心な絹枝は、夫婦関係にはドライらしく、他所で派手に遊ばれるより側室を抱えるほうが良いと考えるようだ。
「明にいさまに弟か妹ができるわね」
「そういえばそうだな」
からっとした明樹もそれほど気にしていないようだ。一番慶明が複雑そうな雰囲気を醸し出していることが星羅にはわからなかった。
「そろそろにいさまも、ご結婚かしら」
「ああ、母上もそんなこと言ってたな」
「もう誰かを娶ってもよいころね」
「その辺は母上に任せるさ」
軽い会話を楽しみ二人は別れた。陸家の使用人が、彼女の馬、優々を連れてきてくれた。礼を言い、さっと馬にまたがる。
「さて優々、帰りましょう」
優々はヒヒンと返事をして駆け出す。西日を追いかけると星羅の空色の着物が朱色に染まる。
「わたしもいつか結婚するのかしら」
全く想像ができなかった。それよりも軍師として身を立て、母、胡晶鈴を探し出すことが星羅にとって大事なことだった。