華夏の煌き
「こんにちは。仲典さん、いつも優々をお世話してくれてありがとう」
「いやあ、おらにできることってそれくらいだし」
「ううん。馬たちはみんな仲典さんが好きだもの。すごいことだわ」
「いやあ」
嬉しそうな許仲典をみると星羅は気分が和む、しかし悪阻がなくなるわけでなかった。
「う、うぐっ」
「ど、どうしただ?」
「だいじょう、うぶっ、ちょっと気持ち悪くて」
「おら、薬師呼んでくるだよ」
「まって、平気。これ、あの悪阻なの」
「つわり? それってなんだったべか」
「子供ができたようなの」
「子供! それはめでてえ!」
「う、ぷ。ありがとう。だから平気なの」
「そうかそうか。そりゃあ大事にせねばなあ」
「だけど、しばらく優々に乗れなくなるみたいなの」
星羅が優々の首筋を撫でると、優々は恨めしそうな目で許仲典に目をやる。
「おやまあ、それは優々がつまらないこった。よし。おらが時々、乗って散歩させてやっとくよ」
「そんな。ほかの馬の世話もあって忙しいだろうからいいわ」
「うんにゃ。ちょこっと走らせてやるだけだよ。重たいおらを長い時間乗せて疲れさせてもいけないし。なあ優々」
優々は嬉しそうに前足で地面をかく。
「まあ! 優々ったら嬉しそうね。じゃあ無理のない程度でお願いします」
「うんうん。星雷さんは丈夫な子を産むんだぞ」
「ありがとう。まだまだ先だけどね」
星羅は優々を連れてゆっくり歩いて屋敷に戻った。あいにく屋敷は、実家よりもずいぶん軍師省に近いので馬に乗らなくても歩きで十分ではある。
明樹が僻地に赴任し一人になった屋敷は寂しいと思ったが、腹に子供がいると思うと明るい気持ちになる。
「明日、みんなに知らせに行かなくちゃ」
陸家と朱家に子供ができたことを告げて回ることにする。
「驚くかなあ」
星羅は明樹に文をしたためる。一言、子供ができましたとだけ。その一文をかくとより星羅に子供ができた実感がわいた。
「晶鈴かあさまは、わたしを身ごもった時どう思ったのかしら」
珍しく京湖ではなく実母の胡晶鈴のことを考える。同時に初めて不安というものを感じる。もう自分一人の身体ではないのだと思うと不思議な責任感が沸き上がる。
「酒は飲まないほうがいいかしら」
「いやあ、おらにできることってそれくらいだし」
「ううん。馬たちはみんな仲典さんが好きだもの。すごいことだわ」
「いやあ」
嬉しそうな許仲典をみると星羅は気分が和む、しかし悪阻がなくなるわけでなかった。
「う、うぐっ」
「ど、どうしただ?」
「だいじょう、うぶっ、ちょっと気持ち悪くて」
「おら、薬師呼んでくるだよ」
「まって、平気。これ、あの悪阻なの」
「つわり? それってなんだったべか」
「子供ができたようなの」
「子供! それはめでてえ!」
「う、ぷ。ありがとう。だから平気なの」
「そうかそうか。そりゃあ大事にせねばなあ」
「だけど、しばらく優々に乗れなくなるみたいなの」
星羅が優々の首筋を撫でると、優々は恨めしそうな目で許仲典に目をやる。
「おやまあ、それは優々がつまらないこった。よし。おらが時々、乗って散歩させてやっとくよ」
「そんな。ほかの馬の世話もあって忙しいだろうからいいわ」
「うんにゃ。ちょこっと走らせてやるだけだよ。重たいおらを長い時間乗せて疲れさせてもいけないし。なあ優々」
優々は嬉しそうに前足で地面をかく。
「まあ! 優々ったら嬉しそうね。じゃあ無理のない程度でお願いします」
「うんうん。星雷さんは丈夫な子を産むんだぞ」
「ありがとう。まだまだ先だけどね」
星羅は優々を連れてゆっくり歩いて屋敷に戻った。あいにく屋敷は、実家よりもずいぶん軍師省に近いので馬に乗らなくても歩きで十分ではある。
明樹が僻地に赴任し一人になった屋敷は寂しいと思ったが、腹に子供がいると思うと明るい気持ちになる。
「明日、みんなに知らせに行かなくちゃ」
陸家と朱家に子供ができたことを告げて回ることにする。
「驚くかなあ」
星羅は明樹に文をしたためる。一言、子供ができましたとだけ。その一文をかくとより星羅に子供ができた実感がわいた。
「晶鈴かあさまは、わたしを身ごもった時どう思ったのかしら」
珍しく京湖ではなく実母の胡晶鈴のことを考える。同時に初めて不安というものを感じる。もう自分一人の身体ではないのだと思うと不思議な責任感が沸き上がる。
「酒は飲まないほうがいいかしら」