華夏の煌き
「冗談ではないよ」
「でも、わたしたち、兄妹として育ってきて今更そんな」
「僕は妹じゃなくて一人の女人として君を愛してきた」
真剣な表情に怖くなるほどだ。漆黒の瞳はより深く黒く星羅を吸い込んでしまいそうだ。
「あ、あの。ありがとう。でもわたしはやはり妹で、わたしの心は明樹にあるわ」
「ん。そういうと、わかってた……」
星羅はいろいろな出来事と様々な感情が沸き上がり、何をどう考え感じたらいいか迷った。
「太極府のお仕事はどうするの?」
「星を見る限り、国難の絶頂がどうやら過ぎたみたいだ。もしかしたら徳樹のことも関係してるのかもしれない」
「そう」
「恐らくこの飢饉も一年耐えれば何とかなると思う」
「ならいいけど」
良い話を聞くと少しだけ気持ちが軽くなる。
「難局を乗り切れば、帰国しようと思う」
「そうなのね……」
京樹は西国に行く、ではなく帰国と言い始めた。
「家族としてでも来ないか? かあさまにも会えるし、きっと以前のようにみんなで暮らせるかも」
星羅は首を横に振る。
「わたしはこの国の民だわ。もちろん京にいも、かあさまもとうさまも恋しい。でもこの国でやらねばならないことがいっぱいあるから」
「わかった。何かあればすぐに言うんだよ。できる限り力になるから」
「ありがとう」
太極府を出て、陸家に戻り、ロバの明々と、馬の優々に会った。明々はますます老いた。もういつ逝ってもおかしくないだろう。
「ありがとう。あなたたちもきっとわたしのために居てくれるのよね」
明々は「ヒィ」と短く鳴き、優々は「ヒンッ!」と力強く鳴いた。京樹も本当はすぐにでも西国に向かったほうが良いであろうが、星羅のためにぎりぎりまで華夏国に居ようとしている。京樹は西国の民のために大事な王になるだろう。いつまでも華夏国に居させては彼の時間が惜しい。
「立ち直らなければ……」
愛する人を亡くしたときにどうやってみんな立ち直るのか。王朝の祖である高祖もこのような辛い気持ちになったのだろうか。
「そういえば、高祖も、愛する人をいつまでも忘れずによく泣いたと伝記にあったわ」
どうやっても明樹が生き返ることはない。だからと言って悲しい気持ちがなくなることもない。しばらく明々と優々の前で泣いて、落ち着きを取り戻してから、慶明に徳樹の養子の件を話し合うことにした。
「でも、わたしたち、兄妹として育ってきて今更そんな」
「僕は妹じゃなくて一人の女人として君を愛してきた」
真剣な表情に怖くなるほどだ。漆黒の瞳はより深く黒く星羅を吸い込んでしまいそうだ。
「あ、あの。ありがとう。でもわたしはやはり妹で、わたしの心は明樹にあるわ」
「ん。そういうと、わかってた……」
星羅はいろいろな出来事と様々な感情が沸き上がり、何をどう考え感じたらいいか迷った。
「太極府のお仕事はどうするの?」
「星を見る限り、国難の絶頂がどうやら過ぎたみたいだ。もしかしたら徳樹のことも関係してるのかもしれない」
「そう」
「恐らくこの飢饉も一年耐えれば何とかなると思う」
「ならいいけど」
良い話を聞くと少しだけ気持ちが軽くなる。
「難局を乗り切れば、帰国しようと思う」
「そうなのね……」
京樹は西国に行く、ではなく帰国と言い始めた。
「家族としてでも来ないか? かあさまにも会えるし、きっと以前のようにみんなで暮らせるかも」
星羅は首を横に振る。
「わたしはこの国の民だわ。もちろん京にいも、かあさまもとうさまも恋しい。でもこの国でやらねばならないことがいっぱいあるから」
「わかった。何かあればすぐに言うんだよ。できる限り力になるから」
「ありがとう」
太極府を出て、陸家に戻り、ロバの明々と、馬の優々に会った。明々はますます老いた。もういつ逝ってもおかしくないだろう。
「ありがとう。あなたたちもきっとわたしのために居てくれるのよね」
明々は「ヒィ」と短く鳴き、優々は「ヒンッ!」と力強く鳴いた。京樹も本当はすぐにでも西国に向かったほうが良いであろうが、星羅のためにぎりぎりまで華夏国に居ようとしている。京樹は西国の民のために大事な王になるだろう。いつまでも華夏国に居させては彼の時間が惜しい。
「立ち直らなければ……」
愛する人を亡くしたときにどうやってみんな立ち直るのか。王朝の祖である高祖もこのような辛い気持ちになったのだろうか。
「そういえば、高祖も、愛する人をいつまでも忘れずによく泣いたと伝記にあったわ」
どうやっても明樹が生き返ることはない。だからと言って悲しい気持ちがなくなることもない。しばらく明々と優々の前で泣いて、落ち着きを取り戻してから、慶明に徳樹の養子の件を話し合うことにした。