華夏の煌き
 豪快に明るい声でハハハッと笑う彼女に晶鈴は少し安心する。

「実は、私も占い師で」
「へえ! お仲間ね! 」
「この町は占い師が多いようだけどやっていける?」
「平気よ。客はかぶらないし。あんたもここでやっていきたいの?」
「ええ。面倒なことにならなければ……」
「ああ、ほかの占い師に遠慮してるのね。気にすることはないわ。役所にだけ商売の届けを出しておけば別にいいでしょう。ちょうど、前にいた占い師がいたところに席を構えるといいわよ」
「あら、そんなところがあるの?」
「出入りの多い町だからね。占い師だって入れ代わり立ち代わりよ」

 気さくなこの金髪の占い師は晶鈴に色々と情報をもらった。勿論、晶鈴は彼女の客として占ってもらい料金を払う。

「何観ようか?」
「まあ、一応、今後のこと」
「インテリーゴ(わかったわ)」

 黒い布の上に美しい絵が描かれた手のひら大の紙片が置かれる。

「この紙をつかって占うの?」
「そうよ」

 初めて見るカードというものに晶鈴は目を奪われる。カードを混ぜる彼女は爪が長く伸びていて、その爪は赤く染められていた。太極府では見ることができなかった、占術を目の当たりにし晶鈴は興奮する。陳賢路老師に見せてあげたい、と久しぶりに太極府を思い出した。

「いい出会いがあるけど、あなたの運命も変わるわ」
「いい出会い……。運命」
「その運命はあなたにとっては不運でもあるし幸運でもある」
「そう……」

 晶鈴の表情を見て、女は笑んだ。

「何にでも当てはまることを言われてると思ってるでしょう」
「えっ、あ、いえ……」
「いいのいいの。たいていの占い師はそうだから。でも聞いてカードの言葉を」

 女の目がうつろになり、視点が定まらない。空気が変わった雰囲気に晶鈴は緊張して次の言葉を待った。

「あなたは不運でも幸運でもあるけど、あなたのおかげで助かる人がいる。そしてあなたの子供は父親のもとへ行くでしょう」

 ふうーっと息を吐いて女は肩を上げ下げする。

「と、こういう結果ね」
「父親のもとへ……」

 子供が隆明のもとへとは考えにくかった。

「まあまあ。未来は変わることもあるんだからね」
「ありがとう、いろいろと」
「じゃあね」

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