華夏の煌き
ファッションではなく便利性なのだと二人で再認識しながら頷いて笑いあった。京湖は寝室の衣装籠から、数点着物を持ってきた。
「遠慮しないで着たらいいわ」
「ええ、でも」
「着物を今から仕立てるのも時間がかかるから」
「そう、じゃあ、借りようかな」
「ちょっと着てみたら?」
勧められ、晶鈴は寝室で着替えて戻ってきた。ふわっとした生地の着物は薄い青色で、重厚な印象から軽やかな印象に変える。袖は晶鈴のものよりも長くひらひらと風に舞う軽さを持っている。丈もひざ下あたりまでしかないので、やはり薄手のひらひらしたズボンをはく。歩くと足の運びがするするといい。
「どうかしら? ちょっと透けてない?」
「透けてないわ。よく似合ってる」
「そう?」
「そうだ。これもよかったら」
京湖はまた奥から持ってきた玉の腕輪を、晶鈴にはめる。
「まあ、素敵な玉ねえ」
真っ白い玉は、濁ったところも、傷もない完璧な円形だった。
「これはちょっと高価すぎないかしら? 壊したら大変」
「いいのいいの。よく採れる玉なの。あなたに持っていてもらいたいの」
どうやら感謝のしるしとして、玉を贈りたいようだった。元々、素直に受け取る晶鈴は彼女の厚意と一緒に受け取ることにした。
「ありがとう。これで過ごしやすくなるわ」
しばらく自分の着物は着ることがないだろうと、綺麗に洗濯をして仕舞うことにした。新しい民族に生まれ変わったような気持ちで晶鈴は占いの仕事に取り掛かるのだった。
30 運命
日が落ちたのに晶鈴が帰らないので、彰浩が町まで馬を走らせた。途中でロバの明々がうろうろとその場を行ったり来たりしているのを見つける。
「明々! 晶鈴は!?」
答えはずもない明々に問う。荷台にはもち米の入った麻袋と晶鈴の通行証が転がっていた。
「これは……?」
何かトラブルでもあったのだろうかと、とりあえず明々を引き連れたまま、町まで行き顔見知りの門番に尋ねる。年若い門番はいつも通り晶鈴は帰ったという。
「それが帰ってこないのだ……」
心配した門番も、町の警備兵に晶鈴が行方不明になったことを伝え探してもらうことにした。町の周りから家まで周辺を数名の警備兵と犬が捜索する。彰浩は一度家に帰り、状況を京湖に伝える。
「ま、まさか……」
「遠慮しないで着たらいいわ」
「ええ、でも」
「着物を今から仕立てるのも時間がかかるから」
「そう、じゃあ、借りようかな」
「ちょっと着てみたら?」
勧められ、晶鈴は寝室で着替えて戻ってきた。ふわっとした生地の着物は薄い青色で、重厚な印象から軽やかな印象に変える。袖は晶鈴のものよりも長くひらひらと風に舞う軽さを持っている。丈もひざ下あたりまでしかないので、やはり薄手のひらひらしたズボンをはく。歩くと足の運びがするするといい。
「どうかしら? ちょっと透けてない?」
「透けてないわ。よく似合ってる」
「そう?」
「そうだ。これもよかったら」
京湖はまた奥から持ってきた玉の腕輪を、晶鈴にはめる。
「まあ、素敵な玉ねえ」
真っ白い玉は、濁ったところも、傷もない完璧な円形だった。
「これはちょっと高価すぎないかしら? 壊したら大変」
「いいのいいの。よく採れる玉なの。あなたに持っていてもらいたいの」
どうやら感謝のしるしとして、玉を贈りたいようだった。元々、素直に受け取る晶鈴は彼女の厚意と一緒に受け取ることにした。
「ありがとう。これで過ごしやすくなるわ」
しばらく自分の着物は着ることがないだろうと、綺麗に洗濯をして仕舞うことにした。新しい民族に生まれ変わったような気持ちで晶鈴は占いの仕事に取り掛かるのだった。
30 運命
日が落ちたのに晶鈴が帰らないので、彰浩が町まで馬を走らせた。途中でロバの明々がうろうろとその場を行ったり来たりしているのを見つける。
「明々! 晶鈴は!?」
答えはずもない明々に問う。荷台にはもち米の入った麻袋と晶鈴の通行証が転がっていた。
「これは……?」
何かトラブルでもあったのだろうかと、とりあえず明々を引き連れたまま、町まで行き顔見知りの門番に尋ねる。年若い門番はいつも通り晶鈴は帰ったという。
「それが帰ってこないのだ……」
心配した門番も、町の警備兵に晶鈴が行方不明になったことを伝え探してもらうことにした。町の周りから家まで周辺を数名の警備兵と犬が捜索する。彰浩は一度家に帰り、状況を京湖に伝える。
「ま、まさか……」