カモミール
「ごちそうさまでした!」 

 コーヒーを飲み干し席を立った。財布を取り出した私に彼は言った。

「毎回払わなくていいよ。まとめて3万払ってくれればそれで。いや、今月は丁度あと半分だから1万5千円でいい」

「あー今手持ちがないので、あとででいいですか?」

「構わないよ」

「ありがとうございます」

 「いってらっしゃい」と彼は軽く手を上げて見送りの挨拶を口にした。

「い、いってきます」

 私は多少戸惑いながらバッグを携えて店をあとにした。
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