カタストロフィ
第2章

狂おしい初恋



朝、カーテンから差し込む陽光で目が覚めたその瞬間に思い浮かべたのは、黒髪の美貌の教師だった。
彼女の姿形を思い出すだけで、何もしていないのに心臓が早鐘を打つ。
自然と赤くなる頬に気づき、ダニエルは羞恥と苛立ちに悶えた。
意味もなく枕をベッドに叩きつけたかと思えば、シーツを抱えてゴロゴロとのたうち回る。

(なんなんだ、一体!昨日からユーニスを思い出すたびにどうしようもなく気分が浮き立って、顔が火照って、恥ずかしくなる!!)

川べりで互いの秘密を打ち上げあったからか、あの時を境にダニエルは平常心をなくしてしまった。
ユーニスの顔の造形が優れているのはわかっていたが、気になどならなかったというのに、あの泣き顔を見た瞬間に美しいと感じた。
そして一度気がつくと、ダニエルはユーニスがいかに綺麗な女性か実感するようになったのである。
淡雪のような白い肌も、夜の闇のような黒髪も、雪が降る前の空のようなグレーの瞳も、すべてが美しい。

聡いダニエルは、自身に起きた変化の答えに辿り着こうとしていた。
しかしこれまでの人生経験が邪魔をして、ユーニスを特別な存在と思い始めたと認められず、奇妙な行動に出たのだ。

「とりあえず、貸本屋に行こう。わからないことはまずは調べなければ」

その発言もまたユーニスの影響なのだが、ダニエルは気がつかなかった。

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