カタストロフィ
「や、きもちいいっ、これだめえええぇっ!」
いくら背中に爪を立てられても、ちっとも痛くない。
どんどん快楽に従順になっていくユーニスの色気に当てられて、ダニエルもかつてないほど興奮していた。
「あっあぁあああ!!きちゃう、なにか、ああああっ!!」
「堕ちて、ユーニス!僕が居るところまで!」
慎重さをかなぐり捨て、大胆に腰を打ちつければ、肌と肌がぶつかる乾いた音が室内に鳴り響く。
二人の交接部分から溢れる水音はさらに勢いを増した。
ダニエルの犯すような荒々しい腰使いは、ユーニスの中に眠っていた官能を完全に目覚めさせた。
不意に身体をしならせたかと思うと、ユーニスは全身を小刻みに震わせながら絶叫した。
その勢いにつられ、やわやわと蹂躙されるがままに、ダニエルも己の内に溜め込んだ愛と欲望をすべて吐き出した。
ドクドクと脈打つそこは、すぐには抜かない。
頭にかかった靄がすっかり晴れたかのような爽快感と少しの気怠さに気を良くし、腕の中の恋人を見下ろす。
「愛しているよ、僕のユーニス」
情事の後に湧き出る冷めた感情は無い。
むしろ、マグマのごとく熱くドロドロした何かが噴き出そうなくらいだ。
散々犯し尽くしたのに満足とは程遠く、早くも2回目、3回目を想像して萎んだ男根が勃ち上がりはじめている。
ふと、ユーニスの白魚のようにスラリとした指がダニエルの頬をとらえた。
触れるだけの軽やかなキスをし、ユーニスが掠れた声で囁く。
「私もよ……私もあなたが好き、ダニエル」
ブツッと何かが千切れる音がした。
おそらくそれは、ダニエルの理性。本能の手綱。
あっという間に硬さを取り戻し、すでに体力も声帯も限界を迎えていたユーニスを気絶させるまで、否、気絶させてなお、ダニエルは腰を振り続けた。
空が白みはじめ、少しずつ部屋の中が明るくなってからようやく貪るのをやめた。
すっかり日が昇り朝が来た時、ダニエルは気づいた。
ユーニスの内股とシーツに、薔薇色の汚れが付着していたのだ。
(これは……使えるな)
情事の最中とはいえ、彼女の愛の言葉に嘘偽りは無いだろう。
しかしダニエルはその慎重さから、念には念を入れることにした。
より確実に、ユーニスを自分のもとに縛りつけるために。