残念なイケメン(ストーカー)が追いかけてくるのでどなたか110番通報お願いします。
 シーンー・・・・・・



 ありえない。百合は聞こえないふりをした。ヤツは、私がここに住んでいることを知らないし、言ってない。



 だからヤツの声が聞こえるなんてただの幻聴だ。そうに決まってる。というか、そうじゃないと困る。



 「何もいない。何もいない。何もいない・・・・・・・」



 百合は、現実逃避を始めた。何もいないとブツブツ呟きながら抱き枕を抱きしめる手に力を入れる。



 しかもその顔は結構必死だ。



「ゆーりーちゃーんっ!?」



 そんな百合の心情など知らず、先程より大きく――――――恋の声は確かに耳に届いた。



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