ゲームスタート!





「なんか夏輝がデカイ声出してるわ〜って呑気に構えてたら、まさか私を呼んでるとは」
「…俺に気付いてたんなら、もっの早く言って下さいよお!」

俺はシューズを履きながら赤面する。

凛太郎の手前、カッコつけてたけども!さすがの俺も気まずかったんですよ!!

先輩はコロコロと笑いながら、その場でジャンプする。体育館の床とシューズとが擦れる特有の、キュッキュッという音が響く。

「時間ないし、3点マッチでいいよね?」
「はいっ!」

俺は勢いよく立ち上がり、あらかじめ用意しておいたボールをその場でつく。何回もシュミレーションして来たんだ。絶対に勝てる!

「先輩!提案なんですけど、負けたら…」
「勝った方の要求を受ける、とか?」

俺の言葉の続きを平然と答えられて唖然とする。

な、なんで知ってるんですか…?俺、凛太郎以外に言ってねーよ⁉︎それも今朝!凛太郎はめんどくさがってもう帰ったし!

「どうせやるなら、何か賭けた方が断然面白いでしょ」
「あ、ああ、そういう…。先輩、意外とギャンブラーっすね」
「そう?」

楽しそうに微笑む先輩は、ぐいっと身体を大きく海老反りにした後俺に目を向ける。

「そろそろ始めよっか」
「お願いしゃーすっ!」

そして開始2秒後…。俺は目を見張る。

速い!遠目で見るよりも断然!!

先輩は長い手足を機敏に操り、瞬く間にボール俺の手からボールを奪う。驚きを隠せない俺を置いてけぼりにして、そのまま流れるようにシュートを決める。

「よしっ1点先取」
「…まだまだこれからぁ!」

俺だってこの1ヶ月、毎日家に帰ってから先輩対策してきたんだ!このまま負けられる訳がない!

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