ちょっと不運な私を助けてくれた騎士様が溺愛してきます
「だって、エスターあなたが悪いのよ」

思っても見ない言葉に、エスターは目を丸くする。

「僕が? どうして」

「いつも……私を熱く見つめておいて、優しい言葉をかけて、抱きとめて、私をこんなに好きにさせておきながら……どうして⁈ どうして私じゃない『シャーロット』と結婚するのよ!」

「……は?」

「おかしいわよ、ずっと見てきたのよ……私はずっと貴方だけを好きでいたのよ! 貴方だって私を好きだから見ていたのでしょう⁈ 」

「いや、そんな事は」

「見ていたわ!いつも私を……熱を孕んだ目で見てた、この家でも、常に見ていたじゃない‼︎ 」

「……み、見てない」
( いや、見ていたがそんな目では見てない……)

 おかしな状況になり、助けてくれと目を移すと、何故か皆、エスターを責めるように見ていた。
( なぜだ? 僕が怒っていたはずなのに…… )

唖然とするエスターに、シャーロット令嬢はさらに言った。

「見ていたわっ! 私の胸を欲しそうに見ていたわっ!」

( 胸を欲しそうってなんだよ!)

「違う! 君が怪しいと思って見ていただけだ!胸は好きだけど見ていない!」

その時、抱かれていたシャルに「下ろしてください……」と何故か冷たい口調で言われてしまった。
仕方なくおろすとシャルはテクテクとドロシーの元へ歩いていく。

「違う……シャーロット、僕は君しか好きじゃないんだ」
シャルに向かって言うエスターに、ニヤニヤ笑いながらダンが話す。
「どっちのシャーロットだよ」
「ダン!余計なこと言うな」
エスターに怒られたダンは、ククッと笑い肩を揺らしていた。
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