ちょっと不運な私を助けてくれた騎士様が溺愛してきます
侯爵家へと帰る三人を乗せた馬車を見送ると、エスターは静かにシャルに言った。

「後の事は侯爵に任せるよ。僕には彼女達を裁く事は出来ない、今回の事は公の罪には問われないからね。それに、バート侯爵は僕に謝罪している。シャーロットそれでいい?」

「はい」
シャルが頷くと、エスターは彼女を抱き抱える。

「皆も、いいね」
「はい、シャーロット様がよろしいのなら構いません」
ジェラルドの返事に皆も頷いた。

「じゃあ、シャルは今から僕達の部屋へ連れて行く、ああ、クレア『返し草』のお茶は用意してくれている?」

「はい、言われた通りに」

「ジェラルド、分かってるね」
「はい、既に騎士団の方には連絡しております」
「ドロシー、三日だから。絶対だよ」

「はい……」
ドロシーは憐れみの入り混じった顔でシャルを見ていた。

 何を皆が話しているのか、どうしてドロシーがそんな顔をするのか、全く分からないシャルはキョロキョロとしている。


 エスターに抱えられたまま部屋へと入ると、ポスっとベッドへ下ろされた。
直ぐ隣にエスターが座る。

「シャル……」

 なぜか子供に言う時の優しい声ではない、少し低い声でエスターは話す。

「はい……」

「僕ね、知っているんだよ……」
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