ちょっと不運な私を助けてくれた騎士様が溺愛してきます
好きだ
エスターの視線に、シャルはビクッと体を震わせた。
恐る恐るエスターを見上げると、青い目が全てを見透かす様に見つめている。
その目がフッと妖しく細められた。
「『返し草』少し苦いらしいけど、まず飲んで」
カップがシャルに手渡された。
*
コクリと一口飲むと、思わずベーッと舌を出したくなるほどの苦味が口の中に広がる。
しかし、シャルの心はそれどころではなかった。
……バレている……気がする……
「ちゃんと全部飲んで、シャル」
うっ……この顔は……完全に……怒っているよね……
私がお茶を全て飲み干すと、エスターは妖艶な笑みを浮かべた。
「体が戻るから、服を脱いでベッドに入って。そのままだと大変だから、僕は後ろを向いているから」
私は素直に言われた通りにした。
ベッドへ入り上掛けを掛ける。
「できました」
そう言うとなぜかエスターは添い寝をした。
横向きで肘をつき頬杖をつきながら私を見下ろす。
「いろいろ聞いたんだよ……バート侯爵にね」
「いろいろ?」
六歳の子供らしく笑って見たけれど、既に意味をなさないようだ……
「いつから記憶は戻っていたの?」
スリ、と手で頬を撫でられる。
エスターは、ゆっくりと小指の先で、頬から唇へと撫で上げる。
(ううっ……その仕草は子供にしてはいけないと思う……)
「……次の日に……シャーロット様のお部屋に行った時です」
ぷに、と人差し指で頬を押された。
……うっ
「どうしてすぐに教えてくれなかったの? 言ってくれたら、暗示なんてすぐに解除出来たのに」
ぷにぷにと軽く押されながら私はその理由を言った。
「彼女の気持ちが……本気だったから」
「本気だったから?」
「だって、私……すごく……気持ちが分かったの……」
薬を盛ったことはいけない事だったと思う。
死に至るような薬では無かったけれど、エスターが言っていたように、使われた場所次第ではどうなっていたか分からない。
甘いと言われるかも知れないけれど
でも……
彼女は、ただ好きだった
エスターの側に、好きな人の近くに居たかった
それに、嫌いなはずの私にちゃんとマナーを教えてくれた。
憎いはずの私に、エスターの話を聞かせてくれた。
エスターの話をする彼女は、とてもキレイだった。
客間に掛けてあったドレス
王女様のお茶会の時に着替えて、無くしていた、最初にエスターが私にくれた、古代文字の入ったドレスがそこにはあった。
なぜ彼女が持っていたのかは分からないけれど……
所々破れてはいたけれど、大切にされていた……
シャーロット様の、愛おしそうにドレスを眺めている顔を見たら、どうしても彼女を嫌いにはなれなかった。
時々怖い事もあったけど
(暗示も掛けられちゃったけど )
彼女はただの恋する女性だった
好きだから、結婚したいと思うのは、おかしなことではない……
私だって、あんな風になってしまっていたかもしれない
誰だって……
恋をしたら、人は変わってしまうのだから
恐る恐るエスターを見上げると、青い目が全てを見透かす様に見つめている。
その目がフッと妖しく細められた。
「『返し草』少し苦いらしいけど、まず飲んで」
カップがシャルに手渡された。
*
コクリと一口飲むと、思わずベーッと舌を出したくなるほどの苦味が口の中に広がる。
しかし、シャルの心はそれどころではなかった。
……バレている……気がする……
「ちゃんと全部飲んで、シャル」
うっ……この顔は……完全に……怒っているよね……
私がお茶を全て飲み干すと、エスターは妖艶な笑みを浮かべた。
「体が戻るから、服を脱いでベッドに入って。そのままだと大変だから、僕は後ろを向いているから」
私は素直に言われた通りにした。
ベッドへ入り上掛けを掛ける。
「できました」
そう言うとなぜかエスターは添い寝をした。
横向きで肘をつき頬杖をつきながら私を見下ろす。
「いろいろ聞いたんだよ……バート侯爵にね」
「いろいろ?」
六歳の子供らしく笑って見たけれど、既に意味をなさないようだ……
「いつから記憶は戻っていたの?」
スリ、と手で頬を撫でられる。
エスターは、ゆっくりと小指の先で、頬から唇へと撫で上げる。
(ううっ……その仕草は子供にしてはいけないと思う……)
「……次の日に……シャーロット様のお部屋に行った時です」
ぷに、と人差し指で頬を押された。
……うっ
「どうしてすぐに教えてくれなかったの? 言ってくれたら、暗示なんてすぐに解除出来たのに」
ぷにぷにと軽く押されながら私はその理由を言った。
「彼女の気持ちが……本気だったから」
「本気だったから?」
「だって、私……すごく……気持ちが分かったの……」
薬を盛ったことはいけない事だったと思う。
死に至るような薬では無かったけれど、エスターが言っていたように、使われた場所次第ではどうなっていたか分からない。
甘いと言われるかも知れないけれど
でも……
彼女は、ただ好きだった
エスターの側に、好きな人の近くに居たかった
それに、嫌いなはずの私にちゃんとマナーを教えてくれた。
憎いはずの私に、エスターの話を聞かせてくれた。
エスターの話をする彼女は、とてもキレイだった。
客間に掛けてあったドレス
王女様のお茶会の時に着替えて、無くしていた、最初にエスターが私にくれた、古代文字の入ったドレスがそこにはあった。
なぜ彼女が持っていたのかは分からないけれど……
所々破れてはいたけれど、大切にされていた……
シャーロット様の、愛おしそうにドレスを眺めている顔を見たら、どうしても彼女を嫌いにはなれなかった。
時々怖い事もあったけど
(暗示も掛けられちゃったけど )
彼女はただの恋する女性だった
好きだから、結婚したいと思うのは、おかしなことではない……
私だって、あんな風になってしまっていたかもしれない
誰だって……
恋をしたら、人は変わってしまうのだから