ちょっと不運な私を助けてくれた騎士様が溺愛してきます
木陰に座り、メイド帽を外した。爽やかな風が髪の間をすり抜けていく。
……ふう、とひとつため息を吐いた。
マーサはよく見ているなぁ……バレない様に普段通りにしていたつもりだったけど、彼女にはお見通しだったみたい。
背中の痛みはそこまでないから誤魔化せるけれど顔色までは無理だよね。
運悪く魔獣にやられてしまったが、死なずにすんでいる、もしかして私って運がいいのかしら?
それに……助けてくれたのって皆が騒いでいたレイナルド公爵様だったのよね……。
( どちらかは分からないけど……)
銀色の髪に青い目だったもの。
みんながあれだけ騒ぐのも分かる……
本当にカッコよかった。
まだ昨日の事なのだが、ずいぶん前の事の様に思いながら庭園の方を見た。
( あの辺で襲われたんだよね、一階のサロンの……あ、サロンって……もしかして、メイド長が言っていたのは、二階のサロンだったのか)
城の庭園に面した一階のサロンの真上には、円形のバルコニーのある二階のサロンがある。
( なんだ、だったら道からは見えないじゃない )
さっきぴょんぴょん飛び跳ねて見ようとしていたリリアを思い出したら何だかおかしくなって、ふふっと笑った。
その時だ
「楽しそうだね」
その人は突然目の前に降りて来た。
陽の光を受けて煌めく銀色の髪が風に靡き、青の瞳が真っ直ぐに私を捉えている。
( わぁ……なんてキレイな人……)
私は一瞬見惚れてしまった。
……このキレイな人は、私を助けてくれようと手を伸ばしてくれたあの人に似てる⁈ 本人?
……と、いうことは……!
私は慌てて立ち上がり頭を下げる。
「も、申し訳ございません」
「えっ、どうして?僕が急に来たんだから……頭を上げてよ」
「いえ、それは出来ません」
「なぜ?」
「私は下働きのメイドです。本来ならこうして公爵様にお目に掛かる事も、お声がけする事も許されておりません」
「……そんな事、僕がいいって言ってるんだよ」
レイナルド公爵様は私の両腕を持ち、半ば強引に頭を上げさせた。
「ちゃんと顔を見せて欲しいんだ……」
掴まれた腕からドクンッと衝撃が走る。
「え……」
二人の目と目が合った。
なぜか胸の鼓動が高まり体が熱くなる。
私達はそのまま、言葉を交わすことなくただ見つめ合った。
それはどれくらいの時間だっただろう、レイナルド公爵様の青い瞳が次第に金色に変わりはじめて……。
「エスターさーまー‼︎‼︎ 」
響き渡る大きな声で、私達はハッと我に返った。
「エスター様…… 」
「そう、僕はエスター・レイナルドだ、君は?」
彼の瞳は完全に金色に変わり、ずっと私を見つめて離さない。
「私は……「エスター様‼︎ すぐお戻りになってーっ‼︎ 」
庭園から王女様の大きな声がする。
その時ちょうど、近衛兵が物干場までエスター様を迎えに来た。
「エスター様、どうかお戻り下さい。マリアナ王女様がお待ちでございます」
ーーチッ、エスター様は舌打ち( ⁈ )すると早口で話した。
「名前、教えて」
「は、はい、シャーロット・ディーバンです」
「わかった」
そう言うと私の頬にキス( ‼︎ ) を残して、近衛兵の下へ向かった。
私はそっと頬を押さえたまま、リリア達が戻るまで呆然とその場で立ち尽くしていた。
( キス……されちゃった……)
……ふう、とひとつため息を吐いた。
マーサはよく見ているなぁ……バレない様に普段通りにしていたつもりだったけど、彼女にはお見通しだったみたい。
背中の痛みはそこまでないから誤魔化せるけれど顔色までは無理だよね。
運悪く魔獣にやられてしまったが、死なずにすんでいる、もしかして私って運がいいのかしら?
それに……助けてくれたのって皆が騒いでいたレイナルド公爵様だったのよね……。
( どちらかは分からないけど……)
銀色の髪に青い目だったもの。
みんながあれだけ騒ぐのも分かる……
本当にカッコよかった。
まだ昨日の事なのだが、ずいぶん前の事の様に思いながら庭園の方を見た。
( あの辺で襲われたんだよね、一階のサロンの……あ、サロンって……もしかして、メイド長が言っていたのは、二階のサロンだったのか)
城の庭園に面した一階のサロンの真上には、円形のバルコニーのある二階のサロンがある。
( なんだ、だったら道からは見えないじゃない )
さっきぴょんぴょん飛び跳ねて見ようとしていたリリアを思い出したら何だかおかしくなって、ふふっと笑った。
その時だ
「楽しそうだね」
その人は突然目の前に降りて来た。
陽の光を受けて煌めく銀色の髪が風に靡き、青の瞳が真っ直ぐに私を捉えている。
( わぁ……なんてキレイな人……)
私は一瞬見惚れてしまった。
……このキレイな人は、私を助けてくれようと手を伸ばしてくれたあの人に似てる⁈ 本人?
……と、いうことは……!
私は慌てて立ち上がり頭を下げる。
「も、申し訳ございません」
「えっ、どうして?僕が急に来たんだから……頭を上げてよ」
「いえ、それは出来ません」
「なぜ?」
「私は下働きのメイドです。本来ならこうして公爵様にお目に掛かる事も、お声がけする事も許されておりません」
「……そんな事、僕がいいって言ってるんだよ」
レイナルド公爵様は私の両腕を持ち、半ば強引に頭を上げさせた。
「ちゃんと顔を見せて欲しいんだ……」
掴まれた腕からドクンッと衝撃が走る。
「え……」
二人の目と目が合った。
なぜか胸の鼓動が高まり体が熱くなる。
私達はそのまま、言葉を交わすことなくただ見つめ合った。
それはどれくらいの時間だっただろう、レイナルド公爵様の青い瞳が次第に金色に変わりはじめて……。
「エスターさーまー‼︎‼︎ 」
響き渡る大きな声で、私達はハッと我に返った。
「エスター様…… 」
「そう、僕はエスター・レイナルドだ、君は?」
彼の瞳は完全に金色に変わり、ずっと私を見つめて離さない。
「私は……「エスター様‼︎ すぐお戻りになってーっ‼︎ 」
庭園から王女様の大きな声がする。
その時ちょうど、近衛兵が物干場までエスター様を迎えに来た。
「エスター様、どうかお戻り下さい。マリアナ王女様がお待ちでございます」
ーーチッ、エスター様は舌打ち( ⁈ )すると早口で話した。
「名前、教えて」
「は、はい、シャーロット・ディーバンです」
「わかった」
そう言うと私の頬にキス( ‼︎ ) を残して、近衛兵の下へ向かった。
私はそっと頬を押さえたまま、リリア達が戻るまで呆然とその場で立ち尽くしていた。
( キス……されちゃった……)