ちょっと不運な私を助けてくれた騎士様が溺愛してきます
俺を見てよ
剣の切っ先すら入らない頑丈な結界に、二人は悪戦苦闘していた。
「ぐっ……ああ! マジかこれっ」
「硬すぎだろ!」
エリーゼ王女は、結界の中央を不安げに見つめている。
そんな彼女に聞こえない様、オスカーはエスターと話をした。
「ジークって結界張れたのか?」
「僕は知らない、ジークなら出来そうだけど……それよりあの魔獣おかしくない?」
「おかしい?」
「アイツ、さっきからこっち見たまま動かないんだ」
「ああ、確かに……アレ、固まってるな」
「死んでる?」
「どうやったか分からないが、魔獣は死んでる」
「……そうか」
二人はエリーゼ王女を様子見る。
「ジーク……」
いつも澄まし顔の王女が、泣きそうになりながらジークの方を見ていた。
オスカーとエスターは、結界を破る事を諦めた様に剣を収めた。
「ちょっと、オスカー様エスター様、何故止めるの⁈ まだジークを助けてないじゃない」
エスターは、表情無くエリーゼ王女に告げる。
「もう、魔獣に咥え込まれてから随分時間が経った。ジークはたぶん……」
エスターを見るエリーゼ王女の大きな目からは、堪えきれずにポロポロと涙が溢れ出した。
「いや……いやよ……そんな事言わないで」
「エリーゼ王女様、あなたは……ジークを好きなんでしょう?」
オスカーは、エリーゼ王女を正面から見て問いかける。
「す……好き……嫌いじゃないわ」
オスカーから目を逸らすエリーゼ王女に、今度はエスターが言う。
「オスカー兄さん、何言ってるんだよ、エリーゼ王女様は兄さんが好きなんだ。そうジークに言ったんですよね?」
そうエスターに言われて、目を見開くエリーゼ王女にまた、オスカーが告げる。
「俺はティナ以外は愛さない。あなたがどれだけ俺を好きだとしても、気持ちに応える事は出来ません」
エリーゼは哀しげな目をして「違うの」と、小さく首を横に振る。
「オスカー様の事は……好き……好きよ、好きだったのよ……ずっと、子供の頃から好きだったわ」
彼女の美しい緑色の目は、切望する様にオスカーを見ている。
「だってあなたは本当に素敵で……子供心に、いつか絶対あなたと結婚するって思ってた。……でも、いつの頃からか……心の片隅に……彼がいたの」
「彼? ジーク?」
エスターが聞くと、エリーゼ王女はコクリと頷いた。
「彼を思う気持ちは胸に秘めたわ、だって身分が違うもの……私は王女だわ、好きな人と結婚出来る訳じゃない。でもオスカー様、あなたなら周りは許してくれた。あなたを好きでいる私には、縁談も来なかった、だから」
「じゃあエリーゼ王女様は以前からジークを……」
「彼と結婚出来ると知って、結婚しようと言ってもらえて……本当は嬉しかったわ」
「だったらなぜ知らないなんて言うんですか? 素直に嬉しいと言えばよかっただけでは?」
「だって………私、素直じゃないもの」
呆気にとられるエスターの横で、くくっ、とオスカーが笑う。
「俺にはぐいぐい来たのに? 媚薬も散々飲まされましたけど?」
「それは……そうだけど」
「本当の気持ちはちゃんと伝えないと後悔するよ? エリーゼ王女様は彼をどう思っているの?」
優しく問うオスカーに、戸惑いの目を向けていたエリーゼ王女は、ジークの方を見て目を伏せた。
一度、唇を噛み締め、何か決心をした様に小さな声で言った。
「……好き……ジークが好き、彼を愛してるの……だからお願い、彼を助けて下さい」
「だってさ、ジーク、聞こえているんだろう?」
「えっ?」
エスターがジークの方に声を掛ける。
すると魔獣の口から光が漏れ出し、バンッ!と大きな音と共に、結界の中で魔獣の体は散乱しながら消えた。
「ぐっ……ああ! マジかこれっ」
「硬すぎだろ!」
エリーゼ王女は、結界の中央を不安げに見つめている。
そんな彼女に聞こえない様、オスカーはエスターと話をした。
「ジークって結界張れたのか?」
「僕は知らない、ジークなら出来そうだけど……それよりあの魔獣おかしくない?」
「おかしい?」
「アイツ、さっきからこっち見たまま動かないんだ」
「ああ、確かに……アレ、固まってるな」
「死んでる?」
「どうやったか分からないが、魔獣は死んでる」
「……そうか」
二人はエリーゼ王女を様子見る。
「ジーク……」
いつも澄まし顔の王女が、泣きそうになりながらジークの方を見ていた。
オスカーとエスターは、結界を破る事を諦めた様に剣を収めた。
「ちょっと、オスカー様エスター様、何故止めるの⁈ まだジークを助けてないじゃない」
エスターは、表情無くエリーゼ王女に告げる。
「もう、魔獣に咥え込まれてから随分時間が経った。ジークはたぶん……」
エスターを見るエリーゼ王女の大きな目からは、堪えきれずにポロポロと涙が溢れ出した。
「いや……いやよ……そんな事言わないで」
「エリーゼ王女様、あなたは……ジークを好きなんでしょう?」
オスカーは、エリーゼ王女を正面から見て問いかける。
「す……好き……嫌いじゃないわ」
オスカーから目を逸らすエリーゼ王女に、今度はエスターが言う。
「オスカー兄さん、何言ってるんだよ、エリーゼ王女様は兄さんが好きなんだ。そうジークに言ったんですよね?」
そうエスターに言われて、目を見開くエリーゼ王女にまた、オスカーが告げる。
「俺はティナ以外は愛さない。あなたがどれだけ俺を好きだとしても、気持ちに応える事は出来ません」
エリーゼは哀しげな目をして「違うの」と、小さく首を横に振る。
「オスカー様の事は……好き……好きよ、好きだったのよ……ずっと、子供の頃から好きだったわ」
彼女の美しい緑色の目は、切望する様にオスカーを見ている。
「だってあなたは本当に素敵で……子供心に、いつか絶対あなたと結婚するって思ってた。……でも、いつの頃からか……心の片隅に……彼がいたの」
「彼? ジーク?」
エスターが聞くと、エリーゼ王女はコクリと頷いた。
「彼を思う気持ちは胸に秘めたわ、だって身分が違うもの……私は王女だわ、好きな人と結婚出来る訳じゃない。でもオスカー様、あなたなら周りは許してくれた。あなたを好きでいる私には、縁談も来なかった、だから」
「じゃあエリーゼ王女様は以前からジークを……」
「彼と結婚出来ると知って、結婚しようと言ってもらえて……本当は嬉しかったわ」
「だったらなぜ知らないなんて言うんですか? 素直に嬉しいと言えばよかっただけでは?」
「だって………私、素直じゃないもの」
呆気にとられるエスターの横で、くくっ、とオスカーが笑う。
「俺にはぐいぐい来たのに? 媚薬も散々飲まされましたけど?」
「それは……そうだけど」
「本当の気持ちはちゃんと伝えないと後悔するよ? エリーゼ王女様は彼をどう思っているの?」
優しく問うオスカーに、戸惑いの目を向けていたエリーゼ王女は、ジークの方を見て目を伏せた。
一度、唇を噛み締め、何か決心をした様に小さな声で言った。
「……好き……ジークが好き、彼を愛してるの……だからお願い、彼を助けて下さい」
「だってさ、ジーク、聞こえているんだろう?」
「えっ?」
エスターがジークの方に声を掛ける。
すると魔獣の口から光が漏れ出し、バンッ!と大きな音と共に、結界の中で魔獣の体は散乱しながら消えた。