ちょっと不運な私を助けてくれた騎士様が溺愛してきます
何で?
エスターは鳥の魔獣に乗り、家路へと急いでいた。
氷祭りの行われている会場上空に差し掛かった時、シャーロットの気配を感じた。
鳥の魔獣を少し下降させ、見ると彼女がいる。
「何で? 家に居ないの……?」
よく見れば近くにはドロシーとその息子達もいた。
一緒に来たのか……
……なぜ? ドロシーの息子達がいるんだ?
エスターは魔獣にここでいいと告げ、飛び降りた。
彼には、人気があるという自覚は全く無い。
人が多い所は好きでは無いが、とにかく最短でシャーロットの下へ行きたかった。だから何も考えず飛び降りたのだ。
しかし彼女の近くは人が多く、少し離れた場所に降りることになる。
「シャーロッ……」
彼女に声をかけようとした途端、人に囲まれた。
腕に縋り付いてくる少年や少女、ベタベタと触ってくる女性達。何故か拳を当てようとしてくる男達、とにかく大勢の人が寄ってくる。
「は、離してください。僕は……仕事中なんです!」
「きゃあ喋ったわ!」
「思ったより、声低いのねぇっ!」
「離れて下さいっ」
仕事中と云うのは、咄嗟に吐いた嘘だったがそう言うと、体からは離れてくれた。
が、相変わらず囲まれたまま、身動きが取れない。
(どうして人が集まってくるんだ⁈ 父上や王女様が一緒にいる訳ではないのに……)
*
エスターの父親である、ヴィクトール・レイナルドは王国最強騎士と名高く、外に出ればその姿を見ようと集まる人々から、常に囲まれていた。
オスカー兄さんは、人に見られる事も触られる事も平気の様だったが、僕は苦手だった。
あれは五歳の頃、父上と一緒に祭りに行った時だ。こんな風に大勢の人に囲まれた。
息子さんを抱っこさせて欲しい、と女性に言われた父上は『好きなだけどうぞ』と笑って……小さかった僕は知らない人達に抱かれ、頭を撫でられ、頬にキスをされた。
気持ち悪くて嫌だったが、それを顔に出す様な事はしなかった。僕は偉大なる騎士、ヴィクトール・レイナルドの息子なのだから。
けれど……それから更に、人が多い所が苦手になった。
氷祭りの行われている会場上空に差し掛かった時、シャーロットの気配を感じた。
鳥の魔獣を少し下降させ、見ると彼女がいる。
「何で? 家に居ないの……?」
よく見れば近くにはドロシーとその息子達もいた。
一緒に来たのか……
……なぜ? ドロシーの息子達がいるんだ?
エスターは魔獣にここでいいと告げ、飛び降りた。
彼には、人気があるという自覚は全く無い。
人が多い所は好きでは無いが、とにかく最短でシャーロットの下へ行きたかった。だから何も考えず飛び降りたのだ。
しかし彼女の近くは人が多く、少し離れた場所に降りることになる。
「シャーロッ……」
彼女に声をかけようとした途端、人に囲まれた。
腕に縋り付いてくる少年や少女、ベタベタと触ってくる女性達。何故か拳を当てようとしてくる男達、とにかく大勢の人が寄ってくる。
「は、離してください。僕は……仕事中なんです!」
「きゃあ喋ったわ!」
「思ったより、声低いのねぇっ!」
「離れて下さいっ」
仕事中と云うのは、咄嗟に吐いた嘘だったがそう言うと、体からは離れてくれた。
が、相変わらず囲まれたまま、身動きが取れない。
(どうして人が集まってくるんだ⁈ 父上や王女様が一緒にいる訳ではないのに……)
*
エスターの父親である、ヴィクトール・レイナルドは王国最強騎士と名高く、外に出ればその姿を見ようと集まる人々から、常に囲まれていた。
オスカー兄さんは、人に見られる事も触られる事も平気の様だったが、僕は苦手だった。
あれは五歳の頃、父上と一緒に祭りに行った時だ。こんな風に大勢の人に囲まれた。
息子さんを抱っこさせて欲しい、と女性に言われた父上は『好きなだけどうぞ』と笑って……小さかった僕は知らない人達に抱かれ、頭を撫でられ、頬にキスをされた。
気持ち悪くて嫌だったが、それを顔に出す様な事はしなかった。僕は偉大なる騎士、ヴィクトール・レイナルドの息子なのだから。
けれど……それから更に、人が多い所が苦手になった。