ちょっと不運な私を助けてくれた騎士様が溺愛してきます
どうすればいいの?
「お願い……サラ、助けて」
……泣いている様なエスターの声が聞こえる。
「エスター様、大丈夫だから落ち着いて、白ワインと甘い物を持って来て下さい」
「白ワイン……何本? 100本? 200本?」
「あのねぇ、はぁ……じゃあ2本」
「それで足りるの?」
「はい、十分です」
パタンと扉の閉まる音がした。
サラ様がいるのか
体はポカポカと暖かい……
これはサラ様の治癒魔法なのね……
「ジーク様、どうしてシャーロットさんはこんな事になったのかしら。私、オスカー様に急に連れて来られて、よく分からないままなのよ。エスター様はあんな状態だしね」
( ジーク様? ジークさんもいるの? )
「氷祭りの会場に魔獣が出たらしいよ。大きな物が三頭、それをエスターくんが討伐している間に、一人にしていた彼女の近くに、更にもう一頭の魔獣が現れたらしい。エスターくんが見た限りでは、そいつはシャーロットちゃんを喰おうとはせず、吹き飛ばしたらしいんだよね」
「どうして一度に大きな魔獣が四頭も現れたの? 私初めて聞いたわよ、それにシャーロットさんが吹き飛ばされた事も、よく分からないわ」
「今、この国は結界を張れる魔法使いが少ないんだよ……だから隙だらけって事だね、それに氷祭りで集まった人や、食べ物の匂いに誘われて出たようだ。シャーロットちゃんが吹き飛ばされた事は……まだハッキリしていないから教えられない。後でちょっと調べてみるよ。……それよりどうなの?」
「擦り傷は治したけれど、体温が戻らないのよ、どうしたらいいのかしら……私が手を離せば体は冷えていくのよ、体の冷えと目が覚めないことは、関係しているのかも知れないわ」
「う~ん……」
ジークさんの悩んだ様な声が聞こえる。
よく分からないけれど、私は助かったらしい。
耳も聞こえて、意識はあるけれど、目は開けられず、体は動かせない。
「エスターくんの体力を与えてみるか……」
( …………⁈ )
「それは、どうすればいいの?」
強い意志のこもった、エスターの声がした。
「あら」
「聞いていたのか……」
「僕の体力を与えれば、シャーロットは目覚めるって事だろう? だったらやり方を教えて、ジーク」
( エスター……そんな簡単なことの様に話すなんて )
「やる? 一番簡単な方法は口移し……かな? ただ、エスターくんは体力を与える側だからかなり大変だし、準備も必要だよ」
「準備?」
「うん、まず、目の色はコントロールできるの?」
「あ、ああ……ジーク、君は何でそんなに詳しいんだ?」
不思議そうにエスターが聞いている。
「ーーん? まあ俺も色々あって、君達竜獣人の事を調べたんだよね。役に立ってよかったよ。金色に出来るのなら、そこから赤色にするだけだ。……君なら必ず出来るよ」
「赤……初めて聞いた、レイナルド公爵邸にあるどの本にもそんな事書いて無かったけど」
「……まぁ、これを知ってしまうと、相手が大変なんだろう」
「……? どういう事だ?」
「とにかくやってみてよ」
……赤……赤い目になるの?
レオン様みたいな赤い目なのかしら……
「出来るかな……いや、やる」
「ここ、胸のここに熱を集める感じ……」
「熱って……んっ……」
エスターの苦しそうな息づかいが聞こえる。
「ぐっ……はああっ……」
「あら、すごい……でもまだ、半分は金色ね」
サラ様は私に治癒魔法をかけながら、のんびりと話す。
「おっ! 凄いな、本当に出来るんだ……がんばれエスターくん! 赤くなったらキスするだけだ!」
「かっ……簡単に言うな……ぐっ」
ああ……どうなっているの?
大丈夫なの? 私のせいでエスターがすごく苦しんでいる……
「ちょっと、ジーク様ワイン開けてくれない」
「あ、はいサラ様」
「うあっ……あっ……」
悠然としたサラ様とジークさんの声、それとは真逆の苦しそうなエスターの声が部屋に響く。
私の為に……
エスター、ごめんなさい……
「あっほらーっ、エスターくんが苦しそうな声出すから、シャーロットちゃんが泣いてるじゃないかー」
「あら、本当、涙が出てるわ」
「えっ……ごっごめん」
「ダメだよ、ちゃんと赤くなるまでは……他の事に気をやったら、ほら一気に青まで戻ってるよ」
私のすぐ側では、サラ様がワインを飲んでいるのだろう、甘い香りがしている。
「ジーク様コレ持って、それからそのお菓子も取って」
「はい……サラ様、意外に人遣い荒いな」
ポツリとジークさんが呟いている。
それから、サラ様が2本目のワインを飲み干した頃
「サラ様、シャーロットちゃんはどう?」
ジークさんが言った後、サラ様は手を離したのだろう。意識が遠ざかってきた。
「やはり治癒魔法じゃダメか」
ため息の混じった、ジークさんの声がする。
また手が当てられたのか、ホワホワと体の奥が温かくなっていく。
……泣いている様なエスターの声が聞こえる。
「エスター様、大丈夫だから落ち着いて、白ワインと甘い物を持って来て下さい」
「白ワイン……何本? 100本? 200本?」
「あのねぇ、はぁ……じゃあ2本」
「それで足りるの?」
「はい、十分です」
パタンと扉の閉まる音がした。
サラ様がいるのか
体はポカポカと暖かい……
これはサラ様の治癒魔法なのね……
「ジーク様、どうしてシャーロットさんはこんな事になったのかしら。私、オスカー様に急に連れて来られて、よく分からないままなのよ。エスター様はあんな状態だしね」
( ジーク様? ジークさんもいるの? )
「氷祭りの会場に魔獣が出たらしいよ。大きな物が三頭、それをエスターくんが討伐している間に、一人にしていた彼女の近くに、更にもう一頭の魔獣が現れたらしい。エスターくんが見た限りでは、そいつはシャーロットちゃんを喰おうとはせず、吹き飛ばしたらしいんだよね」
「どうして一度に大きな魔獣が四頭も現れたの? 私初めて聞いたわよ、それにシャーロットさんが吹き飛ばされた事も、よく分からないわ」
「今、この国は結界を張れる魔法使いが少ないんだよ……だから隙だらけって事だね、それに氷祭りで集まった人や、食べ物の匂いに誘われて出たようだ。シャーロットちゃんが吹き飛ばされた事は……まだハッキリしていないから教えられない。後でちょっと調べてみるよ。……それよりどうなの?」
「擦り傷は治したけれど、体温が戻らないのよ、どうしたらいいのかしら……私が手を離せば体は冷えていくのよ、体の冷えと目が覚めないことは、関係しているのかも知れないわ」
「う~ん……」
ジークさんの悩んだ様な声が聞こえる。
よく分からないけれど、私は助かったらしい。
耳も聞こえて、意識はあるけれど、目は開けられず、体は動かせない。
「エスターくんの体力を与えてみるか……」
( …………⁈ )
「それは、どうすればいいの?」
強い意志のこもった、エスターの声がした。
「あら」
「聞いていたのか……」
「僕の体力を与えれば、シャーロットは目覚めるって事だろう? だったらやり方を教えて、ジーク」
( エスター……そんな簡単なことの様に話すなんて )
「やる? 一番簡単な方法は口移し……かな? ただ、エスターくんは体力を与える側だからかなり大変だし、準備も必要だよ」
「準備?」
「うん、まず、目の色はコントロールできるの?」
「あ、ああ……ジーク、君は何でそんなに詳しいんだ?」
不思議そうにエスターが聞いている。
「ーーん? まあ俺も色々あって、君達竜獣人の事を調べたんだよね。役に立ってよかったよ。金色に出来るのなら、そこから赤色にするだけだ。……君なら必ず出来るよ」
「赤……初めて聞いた、レイナルド公爵邸にあるどの本にもそんな事書いて無かったけど」
「……まぁ、これを知ってしまうと、相手が大変なんだろう」
「……? どういう事だ?」
「とにかくやってみてよ」
……赤……赤い目になるの?
レオン様みたいな赤い目なのかしら……
「出来るかな……いや、やる」
「ここ、胸のここに熱を集める感じ……」
「熱って……んっ……」
エスターの苦しそうな息づかいが聞こえる。
「ぐっ……はああっ……」
「あら、すごい……でもまだ、半分は金色ね」
サラ様は私に治癒魔法をかけながら、のんびりと話す。
「おっ! 凄いな、本当に出来るんだ……がんばれエスターくん! 赤くなったらキスするだけだ!」
「かっ……簡単に言うな……ぐっ」
ああ……どうなっているの?
大丈夫なの? 私のせいでエスターがすごく苦しんでいる……
「ちょっと、ジーク様ワイン開けてくれない」
「あ、はいサラ様」
「うあっ……あっ……」
悠然としたサラ様とジークさんの声、それとは真逆の苦しそうなエスターの声が部屋に響く。
私の為に……
エスター、ごめんなさい……
「あっほらーっ、エスターくんが苦しそうな声出すから、シャーロットちゃんが泣いてるじゃないかー」
「あら、本当、涙が出てるわ」
「えっ……ごっごめん」
「ダメだよ、ちゃんと赤くなるまでは……他の事に気をやったら、ほら一気に青まで戻ってるよ」
私のすぐ側では、サラ様がワインを飲んでいるのだろう、甘い香りがしている。
「ジーク様コレ持って、それからそのお菓子も取って」
「はい……サラ様、意外に人遣い荒いな」
ポツリとジークさんが呟いている。
それから、サラ様が2本目のワインを飲み干した頃
「サラ様、シャーロットちゃんはどう?」
ジークさんが言った後、サラ様は手を離したのだろう。意識が遠ざかってきた。
「やはり治癒魔法じゃダメか」
ため息の混じった、ジークさんの声がする。
また手が当てられたのか、ホワホワと体の奥が温かくなっていく。