ちょっと不運な私を助けてくれた騎士様が溺愛してきます
その時、パッと目の前に手が差し出された。
 手の主はレオン様だ。

「だからっ! 二人ともちょっと待ってくれ! まだ話は途中だろう⁈ 全く二人して何を見せつけるんだ……若い子が睦む所なんて見てるこっちが恥ずかしいんだよ」

竜獣人は直ぐ二人の世界に入り込むから……と暫くブツブツと言うと、気を取り直したレオン様はソフィアに向き直る。

「君は『ディーバン男爵の娘』で間違いないよな?」

優しげに微笑みながら話すレオン様に、ソフィアは頬を染めて頷いた。

「は、はい。私はソフィア・ディーバンですわ」

「ソフィア、私は君を嫁に貰うよ。まあ、既に君は私の色を身に纏っているし、了承していると受け取って構わないよな? 私には家に二人の妻がいるが、大丈夫だよ。皆同じように大切に愛するからね」

「えっ、嫁? 妻? 二人?」



 どういう事?と叔父に尋ねているソフィアを、レオン様は強引に両腕に抱き抱える。
驚き見るソフィアに、レオン様は妖艶な笑みを浮かべると彼女の唇に喰むような長く深い口付けを落とした。

「んうあっ…… んーっ………………………」

チュパンと唇を離したレオン様はペロリと舌舐めずりをする。突然の激しいキスに呼吸もままならず気を失ってしまったソフィアは、力なくその腕に身を委ねていた。

「おや、ソフィアには刺激が強すぎたのかな?困ったね……コレでは僕の相手がつとまるかなぁ……まあいい、じっくりと慣らしてあげるからね」

レオン様は大切そうにソフィアの髪を撫でるとそっと横抱きにする。

「それでは、約束通りディーバン男爵の娘を嫁に貰う」

 そう言うと、レオン様は微笑んで招待状を投げ渡した。
叔父へと投げ渡された結婚披露パーティーの招待状には書いてあったはずの私の名前は消されており、ただ、ディーバン男爵令嬢とだけ記されていた。 

呆気に取らる叔父と叔母、カルロに挨拶をすると、エスター様に「お先に」と軽くウインクをして、レオン様は馬車に乗って行ってしまった。

( ……さっき私達に恥ずかしいって言ったのは何だったの⁈ キッ……キス、それも人前であんなすごいのっ……)
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